2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of self-similar fluctuation in level-spacing statistics of quantum systems
Project/Area Number |
15K13538
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
牧野 浩典 東海大学, 情報理工学部, 准教授 (40338786)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フラクタル / 量子カオス / 準位統計 / 分岐現象 / ビリアード |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究成果の発表と査読者などからの依頼に応えるための補足的な研究を行った。研究成果については日本物理学会等での口頭発表を経て、国際的に定評のある2編の学会誌に論文を発表した。その際の査読者からの要望に応えるため、幾つかの補足的な研究を行っている。具体的には (1)量子系の準位間隔分布から準位反発の大きさを導出するためのフィッティング関数の適合度をカイ二乗分布を用いて明らかにする (2)分岐点の前後で起こるエネルギー準位間隔分布の急激な性質変化をグッツゥイラーの跡公式を用いて説明する である。また、本課題の成果と過去に報じられている他の研究成果との関連をより明確化させるため、新たに数値実験による2点相関関数の分析を計画に追加した。この関数はスペクトル硬度や準位数分散などを扱った過去の研究と明確な関係を持つうえ、我々が本課題で研究対象としている準位間隔分布にも単純な関係で結ばれている。本課題と他の研究との間の見通しのよい関係を与えてくれる。数値実験の結果、分岐点では2点相関関数はスパイク状に振動しており、ベリーやキーティングらが1998年に報じた準位数分散におけるLIFT-OFF効果[1]と本課題で明らかにした成果が大きく関係していることが判った。さらには申請者が1999年に発表したベリー・ロブニックパラメータの引き込み現象[2]がスパイク振動の原点付近での振る舞いからうまく説明できることもわかってきた。2点相関関数を詳細に分析することで、今後さらに研究を発展させるための足掛かりを得ることができた。 [1] Berry, Keating and Prado, J. Phys. A 31,L245(1998). [2] Makino, Harayama and Aizawa, Phys. Rev. E 59, 4026 (1999).
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Research Products
(3 results)