2015 Fiscal Year Research-status Report
カオス系における拡散と局在の古典論と量子論ー低次元から高次元へー
Project/Area Number |
15K13539
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
清水 寧 立命館大学, 理工学部, 教授 (30388128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 研介 立命館大学, 理工学部, 教授 (40151287)
奥島 輝昭 中部大学, 工学部, 講師 (10434721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 拡散 / 局在と非局在 / 量子カオス / 多自由度カオス / アーノルド拡散 / 非線形ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は1.量子カオスにおける動的な「局在ー非局在問題」を古典的及び量子的に解明すること2.アーノルド拡散に代表される多自由度系の受動的拡散運動を「局在ー非局在」の視点から古典的及び量子的に解明する事である。 1.に関しては、特に量子系において、強いカオス系がカップルさせることで、調和振動子系の相空間における拡散運動(エネルギーの吸収)をいかに駆動するかを検証した。具体的には調和振動子に周期外力を加え、共鳴的にエネルギー注入した場合、調和振動子系に強いカオス系の典型である量子Cat写像をカップルさせると、(有限時間ではあるが)調和振動子はプランク定数を十分小さくすると、不可逆的にエネルギーを吸収し続けることがわかった。この量子系に対応する古典系でも調和振動子系の相空間での軌道群は拡散するが、これと完全にコンシステントな結果が半古典領域に近づくにつれ顕在化することがわかった。 2.に関しては、非線形格子振動子系を用いて、相空間での拡散の契機となる軌道不安定性の発生を、Lie摂動展開にPade近似を適用することで得られる有効ハミルトニアンに基づき分析することに成功した。数値的に検証したところ、Lie摂動論とPade近似を組み合わせて得た有効ハミルトニアンが11粒子系の数値計算で発見された周期軌道の消滅現象を正確に記述することがわかった。 これらの結果にく加えて以下の成果も得た。以前我々(奥島、清水)は拡散過程を支配する素過程を特定するツールとしてグラフ的手法(Connectivity Graph)を開発していたが、この手法を用いて、原子クラスター系での拡散過程を分析したところ、空孔生成エネルギーのサイズ依存性が表面効果と密接に関連することを示すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動的局在を示す典型的な写像系の古典的及び量子論的解析が遅れている。これは研究立ち上げ直後でのモデル設定の共通理解が不十分があったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
ミーティングの回数を増やすことと文書による情報交換の徹底によって連携の強化を図り、遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
15年度内に学内において研究用の使用しているPCを格納するサーバー室の移転を予定していたため、その際に必要となる情報機器(LANケーブル、ハブ等)を購入予定であった。しかし、引越し作業の遅延のために、実際の引越しは16年度のはじめにずれこんだため、これらの機器購入をすべて持ち越しした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
16年度4月にサーバー室の移転は終了したため、これにリプレースが必要となった情報機器設備(LANケーブルやハブ等)の購入のために予算を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)