2015 Fiscal Year Research-status Report
擬似非平衡場としての生体膜：膜上での分子拡散と選択的分子集積
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15K13546
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| Research Institution | University of Tsukuba |
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Principal Investigator |
菱田 真史 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70519058)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | リン脂質二重膜 / 水和水 / 拡散 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体膜の基本構造であるリン脂質二重膜表面の水和水中では分子の運動性がバルクとは異なるかどうかを明らかにする点にある。これはリン脂質二重膜表面では長距離にわたってバルクとは異なる水が存在しているという申請者の過去の発見を基にしている。当初の研究計画では、湿度を変化させることでリン脂質膜の膜間に入る水の量を変化させ、その変化によって分子拡散にどのような変化が生まれるかを観測しようとしていた。しかし、相対湿度90%以下ではリン脂質の膜間にはほとんど水が入ることはなく、水中での分子拡散を確認できるほど膜間距離を広げるためには、相対湿度95%以上という非常に高い湿度に系を置く必要があることがわかった。さらにこの高湿度下ではわずかな湿度変化でも膜間距離が大きく変わることから、膜間距離を精密に制御するにはこの高い湿度レベルで湿度を精密に制御しなければいけないこともわかった。いくつかの方法をもってこれが可能であるか検討を行ったが、湿度80~90%程度までは湿度制御は比較的容易であるが、それ以上になると技術的に大変難しいことがわかり、現時点ではうまくいっていないのが現状である。そこで、今後はリン脂質の組成を変化させることで水和状態を変化させることを計画している。それにむけ、現在テラヘルツ時間領域分光法を用いていくつかのリン脂質の水和状態の観測を進めている。一方で、本研究を達成するためには分子拡散を正確に測定する必要もある。そこで現在は光退色後蛍光回復法（FRAP）を用いてリン脂質積層膜系や液晶系における分子拡散の測定を進めており、拡散する分子のおかれた状況によって拡散挙動が異なることを見出しつつある。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
膜表面の水の状態を変化させてそこでの分子拡散を観測することが現在うまくいっておらず、実験的困難に直面しているため、計画通り達成しているとは言えない。装置メーカーとやり取りする中で様々な手法を検討しているが、現時点ではなかなか困難である。そこで今後は、湿度変化をさせることで水和状態を変化させるというだけでなく、リン脂質分子系を変化させるなどして、目的の達成を目指す。
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| Strategy for Future Research Activity |
今回、計画通りに研究を達成するためには相対湿度95%以上で湿度制御を正確に行うことが必要であり、またこれは実験的に大変困難であることがわかったため、研究の方法を変えて実験を行う予定である。方策として現在検討中であるのは、リン脂質二重膜の組成を変化させることで水和状態を変化させ、それによって分子拡散がどのように変化するのかを探ることである。現在、テラヘルツ分光法などの分光法をもちいて、いくつかのリン脂質の水和状態の測定を行っており、その結果を検討することで実験に適切なリン脂質を選び出す予定である。
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| Causes of Carryover |
年度末にわずかに予算が残っており試薬の購入に充てる予定であったが、試薬の納入に時間がかかるために、年度内で使用せず次年度に繰り越すことにした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り、試薬の購入に使用する。
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[Presentation] Enhanced order of lipid bilayer by n-alkane2015
Author(s)
Mafumi Hishida, Asami Endo, Ryuta Yanagisawa, Koyomi Nakazawa, YasuhisYamamura, Kazuya Saito
Organizer
Pacifichem2015（ 2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies）
Place of Presentation
Hawaii Convention Center（ホノルル、アメリカ）
Year and Date
2015-12-15 – 2015-12-20
Int'l Joint Research
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