2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K13551
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00225070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液晶 / 光ピンセット / コロイド分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、液晶が表面に対して垂直配向するように表面処理したコロイド粒子を、液晶がセル表面に対して垂直配向した液晶セル中に分散させたダイポール型コロイド粒子を用いて構造体の形成を行った。この際、コロイド粒子近傍に点欠陥が自発的に発生するが、その方向は上下2方向あり、スピンのアップとダウンとのアナロジーが成り立つ。このとき、反対向きの粒子間には引力が、同方向の粒子間には斥力が発生する。
これら2種類の状態にある粒子を光ピンセットを用いて操作することで、従来の等方性液体中では実現されていないさまざまな構造体の形成に成功した。特に、粒子鎖が環状に閉じた多角形構造、反対向きの粒子数が1:1である正方形構造体、反対向きの粒子数が3:1である四面体構造を作成し、これらを構造単位とした種々の2次元周期構造の実現に成功した。
電場で液晶に配向変化が誘起されることを反映して、これらの構造体は10V程度の交流電場により、1次元的な長さが20%収縮することを見出し、構造体のサイズ制御を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来報告されていた直鎖状の構造体に対して、これを閉じた円環状の構造体の作成に初めて成功し、さらにその構造の安定性を理論的に説明した。また、これらの構造体を単位としてより複雑なアルキメデスタイリングなども実現した。、さらに、電場に対して大きなサイズ変化を観測し、これら構造体が特徴あるフォトニクス構造体に応用できることを示唆した。
本年度の成果の一部はすでにApplied Physics Lettersに掲載され、研究を実施した修士学生が第5回ソフトマター研究会でポスター賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、媒質である液晶として配向方向に空間的なねじれが自発的に発生するコレステリック液晶を用いることでより複雑な3次元構造体の作成を行う。この際、光ピンセットによる操作ではなく、より自己組織的な方法で構造体の作成を進める。
ことに昨年度は利用しなかったひも状の欠陥で結合された構造体の作成を目指す。ひも状欠陥の粒子に対する巻き付き方が組みひも群により分類されており、どのような構造体が実現されるかは位相欠陥の数理的基礎問題と関連しており、これらに関して新たな知見を得ることを期待している。
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめた論文の英文添削が年度をまたがる時期となったために、それに対する予算を次年度に繰り越す結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文の英文添削代金として次年度はじめに執行する予定である。
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Research Products
(7 results)