2015 Fiscal Year Research-status Report
剪断流動場における液晶電気対流の乱流-乱流転移とレオロジー
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15K13553
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 善友 別府大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60290657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 液晶電気対流 / 散逸構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めに,実験システムの製作を行った。現有のレオメーターに顕微鏡スコープを付けて粘度測定と内部観察を同時に行えるようにした。レオメーターの試料設置部は複雑な形をしているため,3次元加工機を用いてカメラを取り付けるための台を作成した。 液晶は棒状分子である,長軸方向の誘電率と短軸方向の誘電率が異なる。この差が異方性で有り,液晶電気対流の構造と深く関わる。誘電異方性が負の液晶のMBBAに正の液晶のEBCAをわずかに混合し,様々な誘電異方性の試料を製作して粘度測定を行った。誘電異方性が負の場合のみ,高電圧での粘性率の減少が起き,正の場合は単調増加であった。試料の誘電異方性は重要な定数であるので,これを正確に測定する誘電率測定システムの製作を行った。液晶は磁場で分子の配向方向が変わるので,液晶セルを電磁石の中に入れて誘電率測定を行う必要がある。その為,磁気的に透明なアルミにヒーターと電極を取り付けた試料台を製作した。そして,誘電率測定装置にそれを取り付けた。誘電率は印加電場の周波数によって変わるため,30Hzから10kHzまでの間で必要な周波数の誘電率の測定を一定温度で自動測定するためのソフトウェアを製作した。 MBBAとEBCAの混合試料ではある条件下で乱流が縞状になる。この縞状乱流が出現する電圧,誘電異方性の条件を実験的に調べた。縞状乱流は誘電異方性が0近くの試料にのみ高電圧下で現れた。縞の間隔はほぼ液晶の層の間隔と同じであった。 本研究を社会還元する目的で,ひらめき☆ときめきサイエンス「液晶科学への誘い」を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた粘度計の改造は,最も難しいもの以外は完成し,粘度測定とカメラでの内部観察を実施できた。また,誘電率の測定システムも満足のいく性能のものが完成した。縞状乱流の出現条件も特定できた。従って,予定していたことはほぼ実行できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成した実験システムでは,粘度計と電圧印加を制御するパソコンと,カメラの取り込みを制御するパソコンを独立に操作する必要がある。必要なタイミングで画像データを取り込むには,2つのパソコンを連携させる必要がある。この為,粘度計のパソコンからカメラ取り込みのトリガー信号を送り,カメラ制御のパソコンで受信するソフトウェアと電子回路を作成する。 上記システムを制作した後,パルス状の電場に対する粘性の応答を計測する実験を行う。本研究では,電気的応力によって粘性が下がる現象を観測している。液晶の純粋な粘性に関わる応力と,電気を印加したことによって発生する応力を区別して計測を行い,同時に試料の構造の時間変化を記録する実験に取り組む。 順調に研究が進んだ場合は,顕微鏡観察時に試料の観測位置が変わらないようにする為の改造を粘度計に施す予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた実験装置の改造,製作に必要な装置と部品を,新規に購入せずに現有のものを工夫して使用し,複雑な形状の部品を3次元加工機を使って自作したことで予算を節約した。また,本研究に関わる研究発表の際,別の科研費研究課題の成果も同じ学会で行ったため,別の科研費で旅費を支払った。その為,旅費にも余りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の改造は今後も必要なため,節約した予算を有効に活用する予定である。また,当初予定していなかった国際会議での成果発表でも使用する予定である。
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Research Products
(7 results)