2016 Fiscal Year Research-status Report
剪断流動場における液晶電気対流の乱流-乱流転移とレオロジー
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15K13553
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 善友 別府大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60290657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 液晶 / レオロジー / 電気対流 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネマチック液晶の電気対流状態において,高電圧下の見かけの粘性が液晶の無電場下での最小粘性値よりも低くなる事がわかっており,これは負の電気的応力に起因すると推察していた。そこで,電気的応力の大きさを実験で測定することを試みた。 ネマチック液晶MBBAに交流電圧を繰り返し印加し,電場を除去する前と直後の剪断応力の変化から電気的応力を測定する実験を行った。2種類の剪断速度の下で25秒毎に60Hz,20Vから170Vの交流の印加と除去を行い,5回の繰り返しについて剪断応力の時間変化から平均のせん断応力を求めた。剪断応力は液晶の粘性応力と電気的応力からなり,電場を切った直後も複雑な対流構造が残っているため,電場除去の前後の応力と電場下での応力の差から粘性応力と電気的応力を推定した。その結果,電気的応力は負であり,その絶対値は電圧が増えるにつれて増加することがわかった。また,予測どおり電気的応力は剪断速度に依存しなかった。一方,2つの剪断速度での粘性応力から,粘性応力は剪断速度に比例することがわかった。これらの結果は理論的予測と一致した。さらに,3.93[1/s]の低剪断下では110V以上で粘性応力と電気的応力の和が負になるという非常に興味深い結果が得られた。低剪断流動場では粘性が負になることは驚くべき結果である。事前に予期していなかった大きな発見と言える。この実験結果を受け,剪断速度を-6[1/s]から+6[1/s]までスイープし,-6[1/s]まで戻した場合のせん断応力を測定したところ,剪断速度とせん断応力の関係に履歴が生じることが判明した。履歴の存在は負の粘性状態が存在することに由来する。現在,この負の粘性状態についての研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低剪断場下で粘性応力と電気的応力の和はが負になるということは,見かけ上,負の粘性状態が実現したことになる。これは元々予測していた事ではないが,非常に大きな発見と言える。大きな発見ができたという意味で,本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
負の粘性状態の発見は研究計画で予期していたことでは無いが,学術的に非常に重要なことなので,この様な状態が実現するメカニズムを探索する事を試みる。
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Causes of Carryover |
負の粘性状態という非常に大きな発見があり,その実験を優先して行ったため,予定していた実験装置の改造を延期した。その結果,実験装置の改造のための費用を繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用の経費は,H29年度の研究において使用する予定である。負の粘性を調べるための実験および計画していた実験装置の改造に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)