2017 Fiscal Year Research-status Report
剪断流動場における液晶電気対流の乱流-乱流転移とレオロジー
Project/Area Number |
15K13553
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 大分大学, 理工学部, 教授 (00228058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 善友 別府大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60290657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 液晶 / レオロジー / 電気対流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,MBBA液晶の電気対流下でのレオロジー的性質を研究する。この実験に高精度の粘度計(ドイツ製のレオメーター)を使用する。この粘度計のデータが信頼できないような値になった事に気が付いたため,粘度計標準液を使って粘度計の校正を試みた。しかし,測定されるべき値と測定値の差は大きく,この差を用いてソフトウエアで補正する様な事はできないと判断した。その為,平成30年12月に粘度計の修理を購入業者に依頼した。 修理に必要なドイツ製部品を取り寄せるために2ヶ月かかり,修理が終わったのは2月中旬になった。その為,今年度に計画していた実験が不可能となり,研究期間延長の申請をし,それが認められた。 前年度に発見した負の粘性現象に関しては,現有のレオメーターで実験ができないため,北大の折原教授の研究室で実験を行って頂いた。せん断応力とせん断速度の関係は,せん断応力制御で実験すると履歴曲線が現れ,せん断速度制御で実験するとS字特性が表れることがわかった。この履歴曲線は,強磁性体の強磁性相転移における磁場と磁束密度との関係と類似していることから,電気対流下のMBBA液晶を"ferrovisous fluids"と命名した。負の粘性は大腸菌分散溶液で報告されているが,本実験系の負の粘性の絶対値は大腸菌の系の数百倍も大きいという特徴を持つ。これらの研究成果を物理学会の統計力学分野のシンポジウムで報告した。また,2018年7月に開催される液晶国際会議で口頭発表する事を認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験装置が故障したため,その対応に非常に多くの時間が取られ,計画していた実験ができなくなった。しかし,負の粘性現象について他機関の実験装置を利用して研究を行い,一定の進展があったので,総合的に「やや遅れている」という評価にした。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年2月末に粘度計の修理が完了したため,粘度測定が行えるようになった。研究期間延長が認められたため,予定している実験をおこなう。
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Causes of Carryover |
主要実験装置である粘度計が故障し,予定していた実験ができなくなり,実験を行うための物品の購入をやめてその予算を修理費に使用した。残りの予算は,研究成果の学会発表と,実験に必要な消耗品の購入に充てる。
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