2016 Fiscal Year Research-status Report
古地球磁場強度研究の新試料の開拓:海底堆積物中の火山ガラス
Project/Area Number |
15K13564
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 准教授 (00452699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 雅史 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (50261350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地磁気 / 古地磁気 |
Outline of Annual Research Achievements |
利用可能な試料が限られているため、地磁気強度絶対値変動については未だ研究が発展途上である。本研究では、新たな試料として海底堆積物中に普遍的に含有される「火山ガラス」に着目し、これらから古地磁気強度絶対値を推定するための手法の検討・開発に取り組むことを目的としている。昨年度は、日本周辺の海洋コアに普遍的に含有される広域テフラの1つである姶良Tn(AT)火山灰に対応する入戸火砕流堆積物の露頭から採取した試料を対象として、20~30メッシュ(595~841μm)の粒子を抽出して基礎的な岩石磁気分析を行った。その結果、これらの粒子が噴出時に熱的なプロセスによって熱残留磁化(TRM)を獲得している可能性が示され、個々のテフラ粒子を対象とした古地磁気強度絶対値実験の可能性が期待されたため、本年度はこれらの粒子を対象として、古地磁気強度絶対値の推定を試みた。 軽石型火山ガラス粒子・塊状火山ガラス粒子・岩片粒子を選別し、綱川-ショー法(2回加熱)による古地磁気強度実験を行った。各加熱の前後では非履歴性残留磁化(ARM)に加え、飽和等温残留磁化(IRM)の着磁と段階交流消磁実験も行った。とくに軽石型火山ガラス粒子からは比較的良好な測定結果が得られた。ARMによる補正に基づくと古地磁気強度推定値は18.5~31.5 μT となったが、グラフの直線性が悪かった。これはARM強度が弱く超伝導磁力計の測定下限に近かったためと考えられる。一方、IRMによる補正はグラフの直線性が良く、古地磁気強度推定値は 24.0~28.4μT となった。IRMによる補正を採用することで、これらの粒子から古地磁気強度絶対値の推定が可能であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、海洋コアに含有される広域テフラの火山ガラスを測定対象として分析を進める予定であったが、慎重を期して、広域テフラの給源付近の陸上露頭から採取した降下火山灰の火山ガラスを測定対象とする計画に変更した。陸上試料の検討を進めてから、海洋コア試料での検討へと移ることを考えているため、その観点ではやや遅れているという判断になる。
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Strategy for Future Research Activity |
高知県西部の露頭、および、各種海洋コアから AT 火山灰試料の採取を行い、同様の検討を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
申請時の研究計画と比べて、より慎重を期した計画とすることにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな分析に必要となる試料採取や機器の購入、実験補助、研究情報収集のための出張旅費などに使用する予定である。
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