2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a practical system of carbonate clumped isotope for reconstructing paleo-temperature from geological material
Project/Area Number |
15K13580
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 彰宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60231263)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炭酸塩 / 同位体 / 古環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
温度復元のツールとして提案された炭酸凝集同位体温度計は沈殿時の水組成とは無関係である点で画期的である。しかし,炭酸塩試料からのCO2精製に際した煩雑な手順がその汎用を阻んできた。本研究は九州大学に導入された最新鋭質量分析計をベースに,二酸化炭素精製ラインに独自の着想を加え,実際の地質試料の測定により温度復元を行うことを目的とした。 今年度は二酸化炭素抽出方法を実現し,コンタミを検出限界以下まで排除して二酸化炭素を精製することができた。これにより,凝集同位体の測定が適切な形で実施することができた。また,二酸化炭素の精製ラインに六角バルブなどの工夫を施すことで,操作性も向上し,一試料あたり1時間程度で処理することが可能になった。 実際に凝集同位体を測定したのは,温泉沈殿物(トラバーチン),現生トゥファ,完新世の石筍,熱水性方解石の4種類の試料である。リン酸反応で発生させた二酸化炭素の凝集同位体から得られた温度はいずれも想定よりやや高く,今後はその原因について考察する必要がある。また,650-200℃の条件で加熱したトラバーチン試料の測定も行い,凝集同位体比が加熱温度に対応して線形的に変質するという興味深い結果も得られた。この成果は凝集同位体の標準物質の作成に応用できる可能性があり,今後は変質プロセスの実態解明についての追加実験を行う予定である。 なお,研究結果は地質学会で公表しており,現在,複数の論文を執筆中である。
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