2015 Fiscal Year Research-status Report
海底堆積物の高解像度宇宙線生成核種分析に基づく超新星爆発イベントの探索
Project/Area Number |
15K13581
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
菅沼 悠介 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (70431898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 龍峰 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90462671)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超新星爆発 / 海底堆積物 / Be-10 / 地磁気強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球史上,隕石衝突による大量絶滅など地球外から影響を受けたことが知られる.しかし,これまでに地球近傍(30パーセク以内)での超新星爆発イベントに関する記録は見つかっておらず,地球表層環境への影響の存在も不明である.一方,近年の研究によって確率的には過去に地球近傍での超新星爆発イベントが存在した可能性が非常に高いこと,そして地球環境に対しても大きな影響を与えた可能性が示されており,過去における同イベントの痕跡発見が望まれている. そこで本研究では,海底堆積物中のBe-10存在量を調べ,過去の超新星爆発イベントを探査を進めている.対象としたのは,赤道太平洋から採取された海底堆積物試料(MD982187コア)である.宇宙線生成核種の分析は,複雑な化学的前処理と,加速器質量分析計(AMS)を用いた極微量精密定量を必要とする.特に本年は,効率よく超新星爆発イベントの探索を進めるため,関連する研究や分析手法についての情報収集を行った.また,新たな超新星爆発イベントの指標として,海底堆積物中のBe-10/9を分析するための実験手法の確立を進めた.特に本研究では大量の試料を準備するため,アルバイトを雇用し,試料準備を進めた.また,一部の試料については,分析手法の確度・精度を検討するため,ニュージーランド核化学機構(GNS, NZ)のZondervan博士の協力を頂き,予察的な加速器質量分析を実施した.その結果,国立極地研究所において整備した実験室および実験手法において,海底堆積物試料の宇宙線生成核種分析が高精度で実現できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海底堆積物を用いたBe-10分析において,従来のBe-10フラックスのみを用いた手法については複数の論文において生物生産などの影響が排除されないことが指摘されるようになってきた.そのため,新たにBe-10/9を求めるための実験手法の確立を優先したため,実際に試料分析に進むのが当初計画より遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様に,赤道太平洋から採取された海底堆積物試料を対象として,数万年に1つ程度の試料を選択して,過去300万年間分の宇宙線生成核種分析を行う.もし,宇宙線量の急増イベントが発見された場合には,その近傍区間において集中的な分析を実施し,宇宙線量の急増イベントの規模と継続期間を詳細に明らかにする(この時の最大解像度は,海底堆積物の堆積速度から500~1000年程度と推定した).そして,宇宙線量の変化プロファイル(急増→徐々に低下)を時定数にフィットする形で,超新星までの距離などの基本パラメーターを衝撃波の理論計算(Kataoka et al., 2013)から求める.
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Research Products
(1 results)