2015 Fiscal Year Research-status Report
クランプトアイソトープによる最終氷期最盛期の日本海表層水温復元
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15K13585
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡崎 裕典 九州大学, 理学研究院, 准教授 (80426288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 拓也 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (40448395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クランプトアイソトープ / 日本海 / 最終氷期 / 表層水温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究課題の連携研究者である東京工業大学吉田教授研究室にて,クランプトアイソトープの手法確立と実サンプルの分析を行った.炭酸塩試薬と標準試料を用いた繰り返し測定では再現性が確認されたが,日本海で採取された現世と化石ホタテ貝を用いた実サンプルの分析では再現性が低かった.このことから,天然試料を用いた場合に再現性が低いことは,二酸化炭素ガス精製の行程で有機物等に由来するガスを除去し切れていない可能性を示唆している.2016年1月6日から9日に南フロリダ大学で開催された第5回国際クランプトアイソトープワークショップに参加した.ワークショップでは現時点での分析結果をポスター発表し,専門家と議論を行った.ワークショップでは新分析技術の紹介やラボ間比較などについての議論が盛んに行われた. 海底堆積物試料の年代測定のため,浮遊性有孔虫の放射性炭素年代測定を行う.そのための有孔虫拾い出し作業を進めた.拾い出した有孔虫試料の依頼分析は、2016年度前半にまとめて行う予定である.また.クランプトアイソトープに基づく最終氷期の日本海表層水温値を別の指標からクロスチェックする目的で、日本海堆積物試料中の珪質鞭毛藻群集解析を進めている.珪質鞭毛藻群集は、種数が少なく水温に応じて明瞭に種組成が変化することが知られており.最終氷期の日本海表層水温が低かったのか高かったのかという問題を確認する際に都合が良い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題であるクランプトアイソトープの分析手法確立と実サンプルの分析について一定の進展があった。今後は低い再現性の改善が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
クランプトアイソトープの分析手法を確立し、実サンプルの分析を進め、最終氷期の日本海表層水温復元値を得る。堆積物試料から拾い出した浮遊性有孔虫の放射性炭素年代測定を行い、年代軸を確立する。珪質鞭毛藻群集から最終氷期の日本海表層水温復元値のクロスチェックを行う。
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Causes of Carryover |
放射性炭素年代測定に用いる浮遊性有孔虫の拾い出しが年度末近くにずれこんだため、2016年度に依頼分析に出すことにしたため。通常、放射性炭素年代の依頼分析には2ヶ月程度を要する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に放射性炭素年代の依頼分析を行う。
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