2015 Fiscal Year Research-status Report
減圧するマグマ中での硫黄の固気液相間の分配関係:火山ガス組成の予測モデルの確立
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15K13587
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40532213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 善博 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00544107)
石橋 秀巳 静岡大学, 理学部, 講師 (70456854)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マグマ / 脱ガス / 火山ガス / 硫黄 / 減圧 / 硫化金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地表へ向けて上昇,減圧しつつあるマグマ中での硫黄の固気液相間の分配関係を,非平衡過程を考慮して明らかにすることを目的としている.最終的には,減圧しつつあるマグマから放出される火山ガスの組成を予測するためのモデルを確立することを目標とする.本年度は,水・硫黄を含む流紋岩質マグマの減圧実験(800℃,100MPaの条件から20MPaへ等温減圧)を行った.マグマに溶解する硫黄の価数および火山ガスの化学種は酸素フガシティに依存するため,ダブルカプセル法を用いてNNO,Re-ReO2,HMバッファ条件で実験を行った.実験後,回収した試料の気泡・結晶組織をX線CTとSEMを用いて観察し,ガラス中の硫黄濃度測定を測定した.また,気泡中のガス組成を測定するため,真空にしたガラスチューブ内で試料を破砕し,回収したガス組成をガスガスクロマトグラフィー質量分析計で測定した.実験の結果,NNOからHMと酸化的になるほどメルトに溶解する硫黄濃度は上昇すること,回収ガス中のH2S濃度/SO2濃度が低下することなどが明らかになった.またNNOバッファ条件で安定な磁硫鉄鉱は,気泡形成の核となるためにその数密度が気泡組織の進化を支配することなども新しく分かった.次年度は減圧速度の効果を明らかにすることで火山ガス中の硫黄濃度を,減圧速度,酸素フガシティの関数として表現し,最終的には火山ガス組成を予測するモデルを構築する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸素フガシティをコントロールした減圧実験の手法確立,ガスガスクロマトグラフィー質量分析計を用いた火山ガス中の硫黄濃度測定の方法確立に時間を要したが,問題点は既に解決しており2年度目以降は順調に実験を進めることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
実験・分析手法を確立することができたので,次年度以降は実際の実験を進める.また,メルト中の鉄の価数を測定することなどで,酸素フガシティの実測も進める予定である.成果は,学会等で発表を行う.
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