2015 Fiscal Year Research-status Report
鉱物をテンプレートとした前生物的RNA生成への挑戦
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15K13588
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古川 善博 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00544107)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヌクレオチド / 重合 / RNA / 鉱物テンプレート |
Outline of Annual Research Achievements |
生命誕生にはRNAが重要な役割を果たしたという説が多くの研究者から支持されている。一方で、生命誕生前の地球におけるRNAの生成可能な過程は明らかになっていない。このことが大きな問題となっている。 本研究では鉱物をテンプレートとしたヌクレオチドの重合によるRNAの合成の可能性についての研究を行っている。初年度である本年は生成が期待される重合物を分析するための電気泳動装置やその撮像装置などの研究設備の購入と実験環境の立ち上げから始まり、一通りの実験操作を確認することができた。また、アメリカの共同研究相手であるFoundation for Molecular Evolutionに滞在し、東北大学で作成した実験試料をラジオラベルし重合物の分析を行った。これにより蛍光誘導体化検出とラジオラベルによる検出の複数の分析方法の中から最適な方法を検討した。 現在までに実際に得られている結果としては、特定の鉱物の表面でヌクレオチドの一種であるアデノシンの種々の1リン酸(5'-AMP, 2',3'-cAMP, 3',5'-cAMP)が触媒や活性化なしで10量体程度まで重合するという実験データを得た。この結果は非常に重要な結果であり、本研究の最大の目的の一部を果たすものである。しかし、この反応の制御には成功しておらず、どのような場合にこの反応が起こるのかという部分についてはさらなる検証が必要である。その部分は来年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な目的であるヌクレオチドノ重合反応の一部は既に達成された。しかし、その重合条件を明らかにするには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
鉱物や加熱脱水条件を変えて、どのような場合にヌクレオチドノ重合が顕著になるのかを明らかにする。
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