2016 Fiscal Year Research-status Report
Phenobubから見たカルデラ噴火直前のマグマだまり
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15K13595
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寅丸 敦志 九州大学, 理学研究院, 教授 (50202205)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気泡 / マグマの発泡 / Phenobub / マグマ上昇の駆動力 |
Outline of Annual Research Achievements |
手持ちのサンプルであるセントへレンズ火山1980年噴火のブラスト堆積物とプリニアン堆積物について組織解析を行った。この噴火では、マグマが噴火直前に火道浅部にまで上昇し潜在ドームを形成していたことがわかっている。山体崩壊により発生したブラスト堆積物は、この潜在ドームを形成する過程と山体崩壊による急減圧を受けた際の発泡過程の両方を岩石組織として記録している。また、それに続くプリニアン噴火による堆積物は、潜在ドーム下の火道内を埋めていたマグマの発泡過程を岩石組織として記録している。両サンプルについて、マグマが地表付近にまで上昇する際に駆動力となった浮力の源であるPhenobubを分析することで、マグマ上昇の駆動力の定量的評価に役立てる。結果を以下に述べる。 ブラスト堆積物:Phenobubは存在しない。潜在ドームを形成した際に、その場での脱ガスが十分進行し、マグマ上昇の駆動力としての気泡が消失したからであろう。冷却によって生じたであろうマイクロライトと2次発泡による気泡が確認できた。 プリニアン堆積物:Phenobubは存在する。Phenobubは、噴出の後期よりも前期に多く存在している。このことにより、火道の上部の方に上昇駆動力としての気泡がより多く存在していたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は、地球惑星科学部門長・専攻長・学科長として組織の運営に携わったために、計画通りに研究を実施できなかった。特に、十和田火山とイタリアの火山へ調査は実行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
残り1年という時間的制約を考慮し、今年度と来年度に予定されている調査とサンプリングをいくつか断念する。その代わりに、現在収集済みの鬼界カルデラ形成噴火の幸屋火砕物と姶良カルデラ形成噴火の大隅降下軽石と入戸火砕流堆積物のサンプルについて分析を集中的に行い、研究課題であるカルデラ噴火のマグマだまりの過剰圧を見積もる。
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Causes of Carryover |
当該年度は、地球惑星科学部門長・専攻長・学科長として組織の運営に携わったために、計画通りに研究を実施できなかった。特に、十和田火山とイタリアの火山へ調査は実行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプルが不十分な噴火についての調査旅費として使用する。また、X線CTなどの分析装置に関わる経費として使用する。
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Research Products
(2 results)