2015 Fiscal Year Research-status Report
海底熱水系における高濃度CO2及び高温・高圧環境を利用した高効率メタノール合成
Project/Area Number |
15K13603
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
土岐 知弘 琉球大学, 理学部, 准教授 (50396925)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海底熱水系 / 二酸化炭素 / 高温・高圧 / メタノール合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化対策及び石油の代替エネルギー対策の施策として,二酸化炭素のメタノール合成を,地球が放出する熱と水圧と二酸化炭素を用いて行うことを目指して,現場合成装置の作製を計画している。具体的には,水深1500mで二酸化炭素が過飽和状態にある300度の海底熱水に,触媒を添加して,メタノールを合成しようという計画である。初年度は,現場合成装置の作製を計画していた。これまでのところ,減額の影響から,当初予定していた現場合成装置は購入できなくなったために,代替品の設計を行っている段階である。一方,申請時に触媒として予定していた有機金属錯体は現場の耐熱性に問題があることが示唆されたことから,現在は合金を触媒として用いる系で合成を検討している。これまでのところ,200度におけるメタン~ブタンまでの炭化水素の合成に成功している。今後は,代替品の試作機を作製することと,メタノールやエタノールなどより複雑な有機化合物の生成を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択にあたって,予算額が減額されていたために当初予定していた現場合成装置は購入できなくなった。必要な総額は4000千程度で,内訳は制御部1,230千円,フレーム680千円,駆動部880千円,水筒730千円,電力供給部730千円となる。また,申請時に予定していた有機金属錯体を用いた触媒に,耐熱性の観点から問題がある可能性が示唆されたことから,現在は触媒を合金に変えて炭化水素合成を実施している。これまでのところ,200度における合成反応の結果,メタン~ブタンまでの炭化水素の生成を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ブタンとイソブタンのピークの区別を行う他,メタノールの定量も行う予定である。また,これらの実験結果をもとに,現場合成装置を試作し,浅海域での試行を目指す。得られた成果は,随時学会発表や論文投稿を行い,公表してゆく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた現場合成装置を一式揃える額には満たなくなったために,設計のやり直しを迫られていたから。また,触媒も有機金属錯体では耐熱性が保証されないことから,合金による合成に切り替えて,基礎実験を行っていた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後,新たに合金を触媒とする炭化水素合成システムを設計し直し,効率のよい炭化水素変換を目指す。
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