2015 Fiscal Year Research-status Report
大気圧プラズマを用いた氷結晶中の水素結合の切断と融雪装置への応用
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15K13606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 晃 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90182998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 淳史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70733137)
高橋 和貴 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80451491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はまず申請書に記載した通り、放電プラズマ発生装置の開発を行った。半導体スイッチング素子(IGBT)と、可飽和トランス、SOSダイオードを用いた高電圧パルス電圧発生装置を制作した。ゲートドライブ回路の設計に少々時間を要したため、予定性能よりも若干劣るが既成品のドライブ回路を購入し、使用することにした。完成した電源の性能としては、ピーク電圧、15 kV, パルス幅最小40 ns, 繰り返し周波数 5 kHz程の電源を開発することに成功した。 次に、放電リアクタの製作を行った。基礎実験用として、針対平板電極のリアクタを作成し、放電発光の様子と、シュリーレン法による衝撃波の可視化を行った。衝撃波の観測は本研究で対象としている氷の砕氷手段として考えられているため、基礎研究の積み重ねが重要である。また、発光と衝撃波強度が、空気中の湿度によってどのように変化するかの違いを観測した。結果として、空気中湿度は放電発光にはほとんど影響を及ぼさないが、衝撃波強度は湿度によって強くなることがわかった。また、パルス電圧のピーク値を大きくすることによっても衝撃波が強くなることが分かったが、一方で、パルス幅を伸ばすと、放電発光強度は強くなるものの、衝撃波強度にはほとんど変化がないということがわかった。この点に関しては現在では有用な説明が考えつかないため、今後の研究対象とする。 初年度は実際の放電処理対象物である雪氷を用いた実験を行うまでは至らなかったが、今後の研究で重要となる基礎データの取得を行うことが出来た。次年度ではこれらの基礎データを元に、実際の雪氷の処理に向けた適切な放電発生装置の設計・開発に邁進する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で計画していた高電圧パルス電圧発生装置の開発に成功し、その特性評価を行うことが出来た。また、基礎実験用の放電リアクタを設計・制作し、放電発光と衝撃波強度の観測を行うことが出来た。実際の雪氷を用いた実験には至らなかったが、研究計画としてはおおむね順調に進展しており、次年度以降の実験への準備を着実に進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実際の雪氷を対象として放電発生実験を行う予定である。まずは実験室内での基礎実験を行い、十分なデータを得てから屋外での実験に臨みたいと考えている。それに伴い、屋外の実験用の電源の開発が必要となる。屋外の電源では、どのように電力を確保するかと、安全をどのように担保するかが重要な課題となるが、その対策は雪氷の砕氷・融雪に必要な電源の性能によってことなるために、研究を進めながらその対策を考えていく予定である。 応用実験と同時に、雪氷を放電処理する際の物理モデルの構築にも取り組む。まず初めとして水分(湿度)と放電の関係について重点的にモデリングを行い、次に氷と放電との相互作用について、氷結晶の構造に着目してモデリングを行う。そして、モデリングがある程度完成させることが出来たら、実験結果との比較を通じてモデルの妥当性について検討を重ねていく予定である。
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Causes of Carryover |
高電圧パルス電圧発生回路の製作が予想以上に順調に進み、経費の削減に成功したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実証実験で用いるパルス電源を、予定より小型化するための電子回路部品の購入に充てる。
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