2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13611
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
和田 元 同志社大学, 理工学部, 教授 (30201263)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大気圧質量分析 / 移動度分析 / 励起種選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大気圧中で正負イオンを発生し,これらをイオン流として輸送して移動度分離を行い,分離された励起種を照射利用することによって農業での肥料や,種苗の育成前処理に応用しようとしている.移動度分離にはゲルディエンコンデンサーの構造を利用しており,大気圧プラズマ中でのコンデンサーの動作原理と性能評価を行う必要があり,平成27年度はイオン源装置と,独立のゲルディエンコンデンサーを設計製作して,研究を行った. ゲルディエンコンデンサーについては電流電圧特性の再現性などについて調査し,学会発表二件,M.C.C. Lacdan and M. Wada,25th International Toki Conference,Paper No. P1-11,Lacdan Ma Camille Corrales、Wada Motoi, 21p-P4-1,第63回応用物理学会春季学術講演会,に加えて,学術誌に論文一件,Ma Camille C. Lacdan and Motoi Wada, Plasma and Fusion Research, Volume 11, 2401015/1-4 (2016).)を発表した.当初の目的どうりの成果を上げ,また,装置の表面状況が変化し,見かけのイオン密度が変化する可能性があると言う,新たな知見も得られた. 大気圧発生部分については現状,当初の見込みから比べてイオン化効率が低いと言う結果になっている.そこで針状電極の電界集中効果と,磁場による放電路形成効果により改善が可能か調査した.本調査は現在も継続している.放電部分の基本設計をM. Wada他, 25th International Toki Conference, Paper No. P2-3, November 2015, Gifu, Japan.にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲルディエンコンデンサー部分についてはある程度の特性解析が行えた他,表面の影響が重要であることなど,新しい知見を得た.しかしながら,大気圧放電部分については予想よりも電力が必要なことが分かり,現在設計を見直している最中である.また,内燃機関ベースのプラズマ発生装置についても,検討が開始できていない.現在,放電効率を増大させるために針状電極先端での電界集中を利用しようとしている.磁場の利用についても検討を行い,途中経過を松永純哉,大谷亮輔,Ma Camille Lacdan, 粕谷俊郎,和田元,“マイクロ波針状電極による大気圧放電”,プラズマ核融合学会第32回年会,25aD02Pに発表するなど,多方面から改善を図っている. これに対して,実際に生成したプラズマを,質量選択なしに植物(カイワレ大根)種子に照射し,発芽速度のデータを採取してみた.また,種苗販売企業とも相談して,農業への展開について知見を得ており,この部分については平成28年度作業予定部分を27年中に行っており,計画としては前倒しの形で進んでいる. イオン種の生成効率と分離効率は,一部相反が生じることが分かった.すなわち,分離能をたかめると再結合が増加し,得られるイオン量が減少してしまう.特に放電系を大きくすることはイオンの輸送距離が増大することから,損失が増大してしまうことが分かった.現在,装置の小型化と,小型化したプラズマ機器の利用について検討を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析の実証について見れば,大気圧イオン源の効率で足踏みをしたために遅れた状態にある.小型イオン源の実績に基づいて中型化したとたんに発生した問題で,期間内に研究を遂行するため,エネルギー効率面で妥協した構造とし,装置が入荷しだい,励起種の分析に入る.このために必要な分析装置は平成28年度春学期中に準備する予定である.夏休み期間中には正確なイオン種毎の分離能力が判明する予定である. 平成27年の研究成果として,大気圧プラズマ発生装置・分析装置は金属電極表面に化学反応のためと思われる薄膜層を形成することが分かった.電極の表面上大変かにより,移動度分離法により選別した活性種の分析部通過量が変化する可能性があり,最適化条件に影響を与える可能性が高い.平成28年度もこの部分の基礎研究をさらに推進する.特に電極表面状態の変化後にどのようなイオン生成効率の変化(劣化)が生じるのか,その基本原理を含めて調査する.特に再結合に伴うイオン流損失を定量評価できるよう,大気圧イオン流の拡散・移動度方程式をコード化する. 種苗処理への応用については平成27年度中に,先行研究として着手することができた.得られた知見としてイオン照射ノズルの適正化が必要であることが分かった.また,同じ原理の水質土壌改質,種苗処理用のプラズマ農業応用装置であることに問題が出てきている.水質土壌改質のためには,ある程度の大きさがあり,例えば耕運機や水路などへの適合性が要求されて,一定の大きさが必要になるのに対し,種苗の処理には短時間に,集中したイオン種照射が好ましいようである.したがって,現在試作中のものを水質・土壌改質用にもちい,医療などへの適合性が高い小型プラズマトーチ形状を種苗処理に用いる.
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Causes of Carryover |
放電実験を実施する回数が少なかったため,誤差が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年の放電実験にてアルゴンガスを購入するために使用する.
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[Presentation] マイクロ波針状電 極による大気圧放電2015
Author(s)
松永 純哉 , 大谷 亮輔 , Ma Camil Ma Camil Ma CamilMa Camil Ma Camille Lacdane Lacdane Lacdane Lacdane Lacdane Lacdan e Lacdan, 粕谷 俊郎 , 和田 元
Organizer
第32回プラズマ・核融合学会 年会
Place of Presentation
名古屋大学
Year and Date
2015-11-24 – 2015-11-27
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