2016 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of solid surfaces by ionic liquid contact angle measurement in high-vacuum
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15K13613
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸山 伸伍 東北大学, 工学研究科, 助教 (80732362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 接触角 / イオン液体 / ペンタセン / 真空 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、室温で非常に低い蒸気圧を持つイオン液体を接触角測定プローブとして用いることで、真空中で調製された試料上における接触角を大気暴露することなく測定する装置を開発し、意図しないガス吸着や汚染等の外因的な要素を最小限に抑え、より本質的な固体/イオン液体の界面相互作用を評価することを目的とした。H27年度には、まずin situ真空接触角測定装置を開発し、均一な表面(表面がよく規定された単結晶二酸化チタン基板)における大気暴露の影響を明らかにするとともに、二酸化チタンとイオン液体の相互作用について議論した。 H28年度は、不均一な表面(複合表面)についてin situ真空接触角測定装置を用い、イオン液体の接触角を真空中で評価した。具体的には、UV照射で清浄化したチタン酸ストロンチウム基板上に成膜した0~数MLの異なる被覆率をもつペンタセン薄膜に対して、接触角の被覆率依存性を調べた。その結果、ペンタセンの被覆率が約0.6ML程度までのイオン液体接触角は、複合表面の接触角を説明する2成分系Cassieの式で説明できたが、0.6ML以上の領域では直線から外れることが分かった。これは、AFM観察から約0.6ML以上でペンタセンの2分子層目が形成されてくることから、ペンタセンの1層目と2層目はイオン液体に対して異なる相互作用を持つことがことが考えられる。ペンタセンの1層目と2層目が異なる電子状態であることはPEEM観察などから知られており、本結果は目視できるレベルのマクロな接触角によっても、ミクロな電子状態の違いを観察することができることを示している。また、一旦試料を大気暴露することで、接触角はほとんど被覆率に依存しなくなったことから、水等の吸着もしくはペンタセン薄膜の酸化が大きな影響を与えることが示唆され、真空一貫で評価を行うことの重要性が改めて認識された。
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Research Products
(1 results)