2015 Fiscal Year Research-status Report
界面ポテンシャル逐次測定法の開発によるイオン拡散の可視化
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15K13622
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 義文 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (80272699)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / ナノギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
透過型電子顕微鏡を用いて2相界面の構造を観察しながら、バイアスを印加してイオンが拡散する様子を計測できるナノギャップ電極の開発を行った。キーとなる課題は、2相界面試料を担持できるナノギャップ電極を作製する技術の確立であり、本研究でこれが実現した。以下に詳細を述べる。 ナノギャップ電極は、市販のTEM用シリコングリッド上に作製した。このグリッドは、シリコン基板に厚さ50 nmの窒化シリコン薄膜をはっており、基板中央にあるウインドウを通して電子線が透過できる構造となっている。このグリッドが極めて平坦であることを利用し、以下の手順で金ナノギャップを作製した。(1)幅5 μm程度のslot上の金属マスクをあらかじめ作製し、真空蒸着法によりウインドウを横切るように金細線を得る。(2)この金細線をFIB加工によって切断することで、50 nm程度のナノギャップを作製する。 グラフェンなど原子層シートの電気伝導特性は、原子配列に敏感であることが理論的に示されている。したがって、電気伝導特性を調べながら原子スケールでその構造を顕微鏡観察する必要があり、「できるだけ狭いナノギャプ」の作製が求められる。条件出しの結果、金細線が厚くなると、FIB加工のGaイオン照射量が増加する必要があるため、横方向にもエッチィングされることからギャップ距離が広がってしまうことが分かった。一方、金細線が薄いと金細線自身の電気抵抗が大きくなるため、適切な厚さがあることが分かった。最終的に、金細線の厚さを約20-40nmとすると、およそ40nm以下のナノギャップを形成できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2相界面TEM観察用の装置開発でやや遅れがあるものの、ナノギャップを作製するという技術的な課題が解決されているため、当初の計画を変更することなく研究を遂行できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
完成したナノギャップ電極間にナノスケールのリチウムイオン電池を担持し、充放電をさせながら逐次的なTEM観察を行っていく。計画通りに2相界面におけるポテンシャル可視化の研究を進める。
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Causes of Carryover |
その場計測用ホルダーの開発が遅れており、それに相当する額を次年度に繰り越す必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その場計測用ホルダーを完成させるとともに、当初の研究計画にそった2相界面ポテンシャル分布計測の研究を平行して進めるため、測定装置に必要な電子部品や機械部品の購入に使用する。
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