2016 Fiscal Year Annual Research Report
Attempt for detecting reaction intermediate with a low concentration by Raman spectroscopy
Project/Area Number |
15K13628
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岩田 耕一 学習院大学, 理学部, 教授 (90232678)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラマン分光法 / 時間分解 / 表面増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,ピコ秒時間分解ラマン分光法において表面増強ラマン散乱効果を利用することによって,溶液中における化学反応の中間体を高感度で分光検出するための新たな方法を開発することを目的とした.平成28年度は,表面増強ラマン散乱効果を利用して低濃度の短寿命過渡分子種のラマンスペクトルを時間分解測定することに成功した. 前年度の研究において,銀のナノ粒子をガラス板上に固定した表面増強ラマン散乱用の基板を利用して時間分解ラマン分光測定を行うことが難しいことが判明していた.そこで今年度は,硝酸銀水溶液を還元して得た銀コロイドを利用した表面増強ラマン測定を試みた.測定のための試料分子としては,4-ヒドロキシスチルベンを用いた.この試料分子に合わせてポンプ光とプローブ光の波長をそれぞれ305 nmと550 nmに設定して,これらの波長での測定が可能なようにピコ秒レーザー光源や光学素子を調整した. メタノール溶液中の4-ヒドロキシスチルベンを光励起して,生成した電子励起状態における4-ヒドロキシスチルベンの時間分解ラマンスペクトルを1000 cm-1から1700 cm-1の波数領域で測定した.時間遅延は-3 psから50 psまで変化させた.得られたラマンスペクトルを,銀コロイドを添加したときと添加しないときで比較すると,電子励起状態の4-ヒドロキシスチルベンに由来するラマンバンドの強度が銀コロイドの添加によって2倍以上増大していた.この実験によって,表面増強効果を利用したピコ秒時間分解ラマン分光測定の高感度化が実現可能なことを示すことができた.
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