2015 Fiscal Year Research-status Report
繰り返しによらずに時空間を同時分解する軟X線イメージングスペクトロスコピーの開発
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15K13631
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
雨宮 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80313196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒巻 真粧子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (90598880)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イメージング / スペクトロスコピー / 軟X線 / 波長分散 / 時空間分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟X線イメージングスペクトロスコピー法を開発するために,以下の研究を実施した。 (1) 集光光学系の構築 2.5:1の縮小率をもつトロイダルミラーを製作し,既存のミラーホルダーと組み合わせることによって,出射スリットの位置において1.5 mm程度の範囲に波長分散した軟X線を,試料位置に500μm程度に集光する光学系を構築した。 (2) 軟X線イメージングスペクトロスコピーの実証 Si基板上に10μm間隔でCuグリッドが描かれたテスト試料に,集光光学系によって集光した波長分散軟X線を照射し,放出される電子を光電子顕微鏡でイメージングすることによって,軟X線イメージングスペクトロスコピーの実証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 集光光学系の構築 予定通りトロイダルミラーの製作とミラーホルダーへの組み込みが完了し,出射スリット位置における軟X線を試料位置に正しく集光できることが確認された。また,既存のミラーホルダーの調整機構はこの目的に対して十分な精度を有することが確認できた。 (2) X線イメージングスペクトロスコピーの実証 光電子顕微鏡によって10μm間隔のグリッドが明瞭に観測されるとともに,Cu L吸収端付近の軟X線に対し,Cuグリッドから放出される電子の強度が,吸収端前後で大きく変化することが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
静的なイメージングスペクトルスコピー法の実証に引き続き,最終的な開発目標である時分割測定の実現を目指して,光電子顕微鏡のカメラの高速化を行う。これによって,10 ms以下での連続測定を可能にする。 さらに,開発した軟X線時分割イメージングスペクトロスコピー法を表面化学反応の時空間同時観察に応用する。具体的な測定対象としては,Rh上における一酸化窒素(NO)と水素(H2)の反応,もしくはCuの酸化反応を予定している。
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Causes of Carryover |
トロイダルミラーの製作に予定以上の金額が必要となったが,現有のミラーホルダーがそのまま利用できたことによって,真空部品等の支出が抑えられたのと,打合せ等の旅費が比較的少額で済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験のための単結晶試料や反応ガス,真空部品の購入に充てる。
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