2016 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of boron-containing organic materials by novel nucleophilic borylation
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15K13633
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 肇 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90282300)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホウ素化反応 / 電子材料 / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素官能基が組み込まれたπ共役系は特異な電子特性、光物性などを示すことから近年研究が盛んに行われているが、われわれは、ホウ素基を求核的反応剤として共役系に導入することができる全く新しいシリルボラン/塩基による求核的ホウ素化反応(J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 19997)を発見した。本研究はこの方法を含ホウ素炭素共役系の合成に拡張し、有機電子材料として有望な、含ホウ素芳香族系の新しい合成を確立した。 1. 有機ハロゲン化物の直接ホウ素化による含ホウ素共役系化合物の合成 (Chem. Eur. J. 2016, 22, 17547).芳香族臭化物あるいはヨウ化物に対して塩基存在下、Ph2MeSi-BMesを反応させると、ハロゲン基がBMes2に置き換わった目的物が高収率で得られた。本反応は、これまで必須とされていたパラジウムなどの遷移金属化合物を必要としない点で、有用な反応である。また、有機ハロゲン化物に2つの反応点を有する場合においては、立体障害の小さな反応点で反応が進行するため、これを利用してジアステレオ選択的な反応を実施することも可能である。さらにこの反応を利用して、結晶中の構造が精密に制御された固体発光材料が得られた。また、本反応の反応機構的な検討と、類似の反応との比較検討を行った論文についても近日発表する予定である。(Synlett 2017)また、ヘテロ環芳香族ハライドや官能基を持つ芳香族ハライドに関しても反応が進行させた。またシリルボランは、一般に空気や水に対して不安定である。トリス(トリメチルシリル)シリル基のような立体障害の大きな持つシリルボランを合成したところ、空気に安定な化合物が得られた。(論文投稿準備中)
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