2015 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミズム制御を設計指針とする新規面不斉反応場の創出と触媒機能
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15K13649
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鹿又 宣弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40221890)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ピリジノファン / 面不斉 / 有機触媒 / 遠隔立体効果 / 不斉シクロプロパン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,架橋鎖の反転運動を縮環により凍結した第2世代の面不斉ピリジン触媒を新たに設計・合成し,ピリジン/ピリジニウムイリド触媒系による不斉シクロプロパン化反応を検証することで,面不斉触媒としての機能性向上を狙い,その評価を行うことを目的として研究を行った. 当初計画通り,本年度はデカメチレン架橋鎖(C10架橋鎖)を有する縮環面不斉ピリジンの合成ルート検討を行った.架橋鎖にヒドロキシ基を立体選択的に導入した光学活性面不斉ピリジノファンエステルを出発物質とし,ピリジン環3位のエステル部位を種々の求核試薬・還元試薬と反応させた後,架橋鎖のヒドロキシ基を足掛かりとした環化反応を行うことで,酸素原子を含むヘテロ5環縮環面不斉ピリジン群の合成に成功した. 一方で,炭素5員環および6員環縮環の面不斉ピリジノファンについても合成検討を行った.これらの触媒は,ピリジン環と架橋鎖のそれぞれにビニル基あるいはアリル基を有するピリジノファンを合成した後,Grubbs触媒による環化に続く水素添加を行うことで,目的とする炭素5員環・6員環縮環ピリジン触媒を高い光学純度で合成する方法を確立した.本合成ルートにおいては架橋鎖上にカルボニルを含むオキソピリジノファン中間体を経由するが,その際この中間体が極めてラセミ化しやすい化合物であることを見いだし,架橋鎖にsp2炭素を導入した場合のフリッピング運動における役割をラセミ化の動力学的パラメータの測定結果より考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は含酸素5員環縮環反応における触媒合成においては主に置換基を持たないジヒドロフラン縮環体の合成を計画していたが,様々な有機リチウム試薬を用いて置換基を導入したジヒドロフラン縮環体においても極めて良好な収率でヘテロ5環縮環面不斉ピリジンの合成が可能であることを見いだした.これらの触媒は置換基による立体効果で面不斉架橋鎖を押し出す遠隔立体効果が期待されることから,研究計画記載の不斉シクロプロパン化において選択性の向上が大いに期待される.本年度は不斉反応の評価を行う上で多様な縮環型面不斉ピリジン触媒を合成できたことから,触媒合成での進展も認められた.これらのことから研究はおおむね順調に進展しているものと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画通り,以下の2点を中心に研究を進める. 1.長い架橋鎖を有する面不斉ピリジンの合成 初年度に引き続き,C10架橋鎖を有する面不斉触媒合成法を確立する.その中でもっとも効率的な手法を用い,架橋鎖の運動がさらに大きな長い架橋鎖として主にC14架橋鎖を有する面不斉ピリジファン触媒を合成する. 2.新規面不斉ピリジン触媒を用いる不斉シクロプロパン化反応 我々が最近開発したピリジン/ピリジニウムイリド触媒による電子不足アルケンの不斉シクロプロパン化反応を有機触媒反応系に適応し,光学活性シクロプロパンの不斉収率から不斉触媒の機能を評価する.面不斉ピリジンを用いた不斉シクロプロパン化は,我々が独自に開発した高ジアステレオ選択的,高エナンチオ選択的反応である.5員環縮環部位への置換基導入による架橋鎖の押し出し効果(遠隔立体効果)と立体選択性への影響,架橋鎖の長さとダイナミック遮蔽機能との関連性,さらには触媒の反応性と立体体選択性の関係についても考察する.
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Causes of Carryover |
2015年度の基金直接経費はほぼ全額を使用したが,198円ほどの次年度への繰越残高が生じた.当初予定よりも物品費が超過したものの旅費・人件費を学内予算でまかなうことが出来たため,若干の黒字繰越となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金額は僅かであることから,次年度の物品費の一環として試薬購入の目的で支出する予定である.
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Research Products
(3 results)