2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13663
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40314380)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属クラスター / 有機金属化学 / 錯体化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる金属元素が直接結合することにより生じる異種混合金属クラスターは、同一種類の金属元素から構成されるクラスターとは異なる触媒反応活性や物性を示すことが期待され、異種混合金属クラスターの合成研究が数多く行われてきた。しかし、一般に、金属配列を制御しながら10核程度の多核異種混合金属クラスターを合成・単離することは極めて難しいとされており、金属配列の相違に伴う性質を理解し、その特徴をうまく引出すことは困難とされてきた。本研究では、長鎖一次元金属鎖錯体をモデル分子として用いて、10核金属鎖内の異種混合金属配列を精密に制御するための化学的手法を開発することを目指す。 平成27年度では、メタル化反応-脱メタル化反応を連続的におこなうことによって、多核異種混合金属クラスターの金属組成と金属配列を精密に制御することを目指した研究を重点的におこなった。その結果、脱メタル化後に異種金属を用いてメタル化をおこなうことにより、2種の金属元素を配列させたバイメタリック多核異種混合金属クラスターを構築することに成功した。2種の金属元素を交互に配列させることが可能であることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、多核異種混合金属クラスターの金属組成と金属配列を精密に制御することを目指して研究をおこなっているが、この困難な課題に対して、メタル化-脱メタル化方法を取り入れることにより、バイメタリック10核金属鎖を構築できることを実証できた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度に開発したバイメタリック多核異種混合金属クラスターの構築方法を利用して、異なるバイメタリック構造を選択的に構築することを目指す。さらに、クラスターのトータルトランスメタル化についても検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が順調であり、脱メタル化-メタル化法に基づくバイメタリック金属鎖構築に成功している。本研究は既に精密異種金属導入反応の検討を行う段階に入っているが、増核反応の検討をおこなう中で、新たな生成物の同定をおこなう必要が生じ、スペクトル解析による構造解析を進めることになった。これに伴い、初年度に使用予定の試薬は、次年度に用いることに変更したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた交互金属配列構造の構築を目指す検討については、平成27年度から前倒しして実施しており、平成28年度も継続して実施する。また、トータルトランスメタル化の実現を目指した研究も実施し、研究のとりまとめをおこなう。
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