2015 Fiscal Year Research-status Report
光応答性電荷移動層を用いたフォトクロミックエレクトロニクス電子デバイス
Project/Area Number |
15K13669
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 建児 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80262145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機エレクトロニクス / フォトクロミズム / 電界効果トランジスタ / 光スイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、高い電荷移動度が期待できる広がったπ系を側鎖に持つジアリールエテンの合成から検討を行った。広がったπ系を持つ化合物としてまず初めにジベンゾチオフェンを選び、ジアリールエテンの両側に異なる置換位置で結合した化合物2種を合成した。合成には、パラジウム触媒によるC-H直接活性化反応を用いた。合成したジアリールエテンは各種スペクトルにより構造を確認し、最終的にはX線構造解析により同定した。単結晶構造解析の結果、側鎖のπ系がスタックしていることが明らかとなった。スタックの仕方は、2種の化合物で異なっており、異なる電導挙動が示唆された。光照射に伴う紫外可視吸収スペクトルの変化により溶液中でのフォトクロミック挙動を確認し、サイクリックボルタンメトリーおよび紫外可視吸収スペクトルより、エネルギーダイヤグラムを作成した。次に2種のうちの1種について、薄膜でのトランジスタ挙動について検討した。アモルファス薄膜でトランジスタ性能を示すデバイスが得られ、紫外光および可視光の照射によりトランジスタ特性が光応答することが明らかとなった。薄膜結晶でトランジスタ性能を示すものはまだ得られていないが、ON状態の時の面内方向の電荷移動度が高くなるような薄膜結晶が作成できれば、ON状態とOFF状態の差が大きい光スイッチング性能とON状態での大きな電荷移動度を兼ね備えた光応答型電界効果トランジスタが実現できるので、この方向の研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、化合物の合成に注力し、広がったπ系を側鎖に持つジアリールエテンの合成に成功し、トランジスタ挙動の光応答の確認までを行った。おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、実験を繰り返さないと指針が見えてこないタイプの研究であるため、とにかく広がったπ系を側鎖に持つジアリールエテンを合成し、トランジスタ挙動の光応答について調べていく。
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Research Products
(2 results)