2017 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Thermally Activated Delayed Fluorophores Based on Intramolecular Charge Transfer
Project/Area Number |
15K13671
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 正毅 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授 (10272709)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遅延蛍光 / イソフタル酸 / 凝集誘起発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規熱活性化遅延蛍光材料として、2,6-ジアミノベンゾフェノンを設計した。標的分子の合成は、まず、1,3-ジブロモベンゼンをLDAを用いて水素引き抜きによりリチオ化したのち、対応するベンズアルデヒド誘導体に付加反応を行い、続けて過マンガン酸カリウムで酸化することにより対応するベンゾフェノン誘導体を合成した。そしてこれにパラジウム触媒を用いるアニリンとのカップリングを行うことにより行った。メトキシ基置換体のX線単結晶構造解析により、カルボニル基は中央ベンゼン環に対して約55°捩れていることがわかった。また、窒素原子二つはいずれもsp2混成していることが判明した。結晶のパッキングは、パイ平面どうしのスタッキングがなく、分子凝集による濃度消光が起こりにくい様式であることを明らかにした。これらの分子は、有機溶媒中室温ではほとんど発光を示さなかったが、極低温では効率よく青緑色発光を示した。ナノ秒オーダーの発光成分とミリ秒オーダーの発光成分が観測されたので、長寿命成分はリン光と帰属した。すなわち、設計した発光団は、励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差が項間交差を容易に起こしうるほど小さいことがわかった。そして、発光しない有機溶液に水を添加すると、分子が凝集して黄緑色発光した。また、粉末状態でも室温真空下において黄緑色発光を示した。その際、発光成分は寿命がナノ秒オーダーとマイクロ秒オーダーの2成分あることが明らかとなった。また、大気下では発光効率が低下した。すなわち、今回設計した2,6-ジアミノベンゾフェノンは、分子凝集状態において遅延発光を示すことを明らかにした。
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