2016 Fiscal Year Annual Research Report
Thermopower measurements of single molecules for thermoelectric thermoelectric conversion devices
Project/Area Number |
15K13673
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
夛田 博一 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40216974)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノコンタクト / 分子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
電極と分子の接合によって生じる電子構造を制御することにより,高効率の熱電変換素子を作製することを目標とする。ゼーベック係数は,フェルミ準位における状態密度の微分係数に比例する。これは,電極と分子の軌道の混成によって生じる界面電子状態が重要であることを意味するが,バルク材料の計測では,材料の特性が界面の特性を打ち消してしまう。そこで,界面の効果が顕著に現れる金属―分子-金属システムを研究対象とし,ゼーベック係数,電気伝導度,熱伝導度の系統的な考察を行う。 平成27年度までに確立した方法を用い、平成28年度は、オリゴチオフェン分子ワイヤーを試料としてゼーベク係数の計測を行った。長さの異なる3種類の分子について計測を行ったところ、いずれも正の値となり正孔がキャリアであることが示された。長さに対しては不連続の傾向を示した。オリゴチオフェン分子ワイヤーは、分子鎖長が短い場合はトンネル伝導が主であり、長くなるとホッピング伝導が主たる伝導機構となる。この移り変わりと、ゼーベック係数の長さ依存性おがほぼ一致していることから、主たる伝導機構が、トンネル伝導の場合とホッピング伝導の場合との影響が現れているものと考察した。 さらに、本年度は、分子集合体の熱伝導度の計測手法を確立し、分子鎖方向の電気伝導度、ゼーベック係数、熱伝導度を総合的に計測することに成功した。従来の方法では、分子鎖方向の熱伝導率の評価が困難で、そのため、無次元性能指数を大きく見積もってしまう問題点があったが、本手法の確立により、系統的な議論を可能とした。
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Research Products
(6 results)