2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K13682
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田島 裕之 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (60207032)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機薄膜デバイス / 有機スピントロニクス / 電荷注入障壁 / 変位電流法 / 光CELIV法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、遅延時間を用いた磁場効果増強法により、弱磁場下で100%以上におよぶ磁場効果を示す、接合デバイスを探索・作成することを目的としている。今年度は、導電性高分子、ZnPc/C60バルクヘテロ接合に関して、申請書に書いたように、光CELIV法を用いて磁場効果の遅延時間依存性を調べた。その結果、磁場効果は遅延時間を増すにつれて増加するが、さらに増すと減少してしまうことを見出した。このことは、遅延時間依存性だけでは、目的を達成できないことを意味している。現状では磁場効果の大きさは10%程度にとどまっている。そこで、方針を転換して、接合界面の効果を利用した磁場効果増強を現在試みている。一連の研究成果は、現在取りまとめ中である。 関連した技術として、変位電流法を用いた電荷注入障壁の決定法を開発した。一般に有機薄膜デバイスにおいては、光電子分光、逆光電子分光等、非常に高価な装置を用いて、電荷注入障壁が決定されているが、新規に開発された方法では、100万程度の汎用電気計測装置を用いるだけで済むので、非常にインパクトが大きいと考えている。この測定法を用いた、フタロシアニン薄膜の実験に関しては、銀電極に対して、電子注入障壁が1.8 eV、正孔注入障壁が0.4 eVという値が得を得た。また、MoO3/Ag電極は、フタロシアニンとオーミック接合を形成することも確認された。これらの成果は、Organic Electronics誌に受理されており、掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に上に述べたように、本研究課題はCELIV法を用いて磁場効果を増強することを目的としてスタートしたが、この課題自体に関してはうまくいっていない。しかしながら、CELIV法と類似する「変位電流法を用いた電荷注入障壁決定法の開発」という、新たな展開により、研究は著しく進展した。この手法はまったく新しい実験手法であり、非常に多くの有機物を対象とした実験ができる。
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Strategy for Future Research Activity |
変位電流法を用いた電荷注入障壁決定法は、まったく新しい実験手法、解析手法であるため、実験手法を確立するためには多くのことを行う必要がある。種々の物質への適用、実験手法、解析手法の更なる開拓、磁場効果への応用も含めて、研究を展開してゆく。
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Causes of Carryover |
予算節約のため、旅費の大半を自費で補填したため次年度使用額が生じた。繰越が可能なので、次年度に消化するつもりである。いうまでもないことであるが、自費による補填をしてなければ、次年度使用額は生じず、大幅な赤字になっていたはずである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品購入、装置修理費をはじめとする出費に当てる。余裕があれば、出張費にも当てる予定である。
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Research Products
(8 results)