2015 Fiscal Year Research-status Report
アルケンの触媒的不斉ヒドロフッ素化及びヒドロトリフルオロメチル化反応創出への挑戦
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15K13696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 康次 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70532696)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機フッ素化合物 / 触媒的不斉合成 / 銅触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究一年目の計画に基づき、まずはじめにスチレンをモデル基質として触媒的ヒドロフッ素化を可能とする触媒系の探索を行った。これまでの研究成果に基づき、様々なリンおよび窒素、そしてN-ヘテロサイクリックカルベンを支持配位子として有する銅錯体を中心に、その活性を評価した。その結果、高い電子求引基性を有するトリフルオロメチル基をリン原子上の置換基に複数個導入した、高度に電子不足かつ嵩高い二座のホスフィン配位子を有する銅錯体が興味ある触媒活性を示すことを見出した。すなわち、この銅触媒と塩基存在下、スチレンに対して水素源として適切なヒドリド、フッ素源として求電子的フッ素化試薬を作用させると、位置選択的なヒドロフッ素化反応が室温で進行し、対応するフッ化ベンジル誘導体を与えることを見出した。使用するヒドリド源や求電子的フッ素化試薬、そして外部塩基など、様々な因子が反応効率に対して極めて大きな影響を与えることがわかっており、これらの最適な組合せを見出すべく、現在注力している。また、この系の不斉化に向けても検討を行っており、そのために必要となる高度に電子不足かつ嵩高い二座の光学活性活性ビスホスフィン配位子の合成ルートの探索も並行して進めている。 一方、上述したようなスチレン誘導体の官能基化を検討する中で、いくつかの興味あるアルケンの新規官能基化反応を偶然にも見出した。その一つとしてアルケン部位へのヘテロ元素導入を伴う二官能基化反応があげられる。従来の手法を補填し得る、極めて魅力的な合成手法となることが期待されるため、こちらに関してもデータの取得を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたヒドロフッ素化反応については、エナンチオ選択的ではないものの、有望な銅触媒を見出すに至っている。一方、この研究の過程においていくつかの関連するアルケンの新規官能基化反応を見出すことができており、こちらの進展も期待される段階に差し掛かっている。以上のことを理由に、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に則り、すでに見出している銅触媒の不斉化をおこない、エナンチオ選択的ヒドロフッ素化ならびにヒドロトリフルオロメチル化反応の創出を目指す。さらに、研究過程で偶然発見したアルケンの新規官能基化反応についても精査する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に則り、アルケンの触媒的ヒドロフッ素化について検討をおこなうなか、関連するアルケンの新規官能基化反応を見出すに至った。この興味ある分子変換反応について調査する必要が生じ、当初の計画に遅れが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
偶然見出したアルケンの新規官能基化反応の精査、および当初より計画しているアルケンのヒドロフッ素化とヒドロトリフルオロメチル化に関する実験ならびにデータ解析のための物品費として、主に試薬やガラス器具の購入に充てる予定である。
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Research Products
(11 results)