2016 Fiscal Year Annual Research Report
Challenge for Development of Catalytic Enantioselective Hydrofluorination and Hydrotrifluoromethylation of Alkenes
Project/Area Number |
15K13696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 康次 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70532696)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 銅触媒 / 有機フッ素化合物 / 有機リン化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究計画に則り、アルケンの触媒的不斉ヒドロフッ素化を可能にする触媒反応系の探索を行った。前年度に見出していた高い電子求引性を有するビスホスフィンを支持配位子に有する銅触媒を軸に種々の反応パラメーターを詳細に探索した。すなわち、ヒドリド源、求電子的フッ素化試薬、塩基性添加剤および溶媒のスクリーニングである。しかし、残念ながら収率、選択性ともに満足のいく結果を得ることはできなかった。高い電子求引性を有するビスホスフィンが有効であることは確かであるため、今後もこの方針を軸として検討を続ける予定である。 一方、本触媒系を確立するには、新規なビスホスフィン配位子の設計と合成が必要であるとの結論に至った。そこで、これを可能とする新たな炭素-リン結合形成反応の開発に取り組んだ。その結果、N-ヘテロサイクリックカルベン配位子を有する銅触媒と適切な酸化剤を組み合わせることで、シリルホスフィンによるスチレンのビスホスフィン化が進行し、対応するビスホスフィン配位子が得られることを見出した。この種のビスホスフィン配位子は、従来対応するジハロゲン化物に対する求核置換反応で合成されていたため、出発原料の調製に多段階を要し、また基質適用範囲も乏しいものであった。これに対し今回開発した手法は、シンプルかつ入手容易なアルケンから一段階で望むビスホスフィン配位子を合成することができる極めて画期的なものである。このような反応系はこれまでほとんど知られていなかったため、学術的にも極めて興味深いといえる。今後はこのビスホスフィン化反応も駆使し、上述のヒドロフッ素化に有効なビスホスフィン配位子の探索をおこなっていく。
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Research Products
(14 results)