2016 Fiscal Year Annual Research Report
Synthsis of Silacarboxylic Acid Derivatives and Applications Thereof
Project/Area Number |
15K13697
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 和宣 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (80401529)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機ケイ素分子 / カルボン酸誘導体 / シラカルボン酸 / シラカルボン酸エステル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,”カルボン酸”のカルボニルα位炭素をケイ素に置き換えた”シラカルボン酸”を創製し,その特異な反応性の解明とそれを利用する有用ケイ素分子の開発について検討した.平成27年度の研究において,オゾン酸化を活用した効率的シラカルボン酸エステルの合成法を開発することに成功し,その反応機構をDFT計算によって明らかにした.平成28年度の研究では,さらに高度に官能基化されたシラカルボン酸誘導体の合成について検討した.具体的には,生理活性天然物のキラル部分構造として重要なキラルαヒドロキシカルボン酸のα位不斉炭素を不斉ケイ素に置き換えた,新規シラカルボン酸誘導体の合成について検討した.その結果,ビニル基を導入したキラルシラカルボン酸を不斉合成した後に,独自に開発した付加型オゾン酸化によりビニル基の炭素-ケイ素結合を酸素-ケイ素結合に変換することで,αヒドロキシシラカルボン酸を合成することに成功した.しかしながら,αヒドロキシシラカルボン酸は不安定であり,その立体化学を解析することが困難であった.そこで,オゾン酸化を行う前にカルボキシ基をエステル化して,その後,ビニル基を酸素官能基に変換することで,αヒドロキシシラカルボン酸エステルを合成した.αヒドロキシシラカルボン酸エステルは空気中,安定に取り扱うことができ,キラル固定相を充填したカラムによるHPLC分析によって,エナンチオマーが分離された.実際に,光学活性な原料を用いることによって,αヒドロキシシラカルボン酸エステルの光学活性体を合成することに成功した.この,新規シラカルボン酸誘導体は,新しい生理活性分子やその原料としての応用が期待できる.
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