2015 Fiscal Year Research-status Report
キラル材料の微細構造解析を目指した円偏光二色性顕微鏡の開発
Project/Area Number |
15K13708
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 裕之 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 准教授 (90343235)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 円偏光二色性 / 共焦点顕微鏡 / キラル |
Outline of Annual Research Achievements |
超高感度の円偏光二色性(CD)計測のため、微弱な楕円偏光を利用した分光計測を行う。本計測を実現するためには微小位相差を有する波長板の方向を制御することが必要となる。本研究の目的であるCD顕微鏡計測を実現するためには、偏向状態を高速に変調する必要があるため、波長板として電気-光学素子(EOM)の導入を行った。本研究では2台のEOMを用い、プローブ直線偏光から一方は+4度、他方はー4度回転して配置した。EOMは電圧印可によって複屈折を生じ、そのレターデーションは電圧によって制御できる素子であり、これらに交互に電圧印可を行うことで、波長板の遅相軸を+4度とー4度に切り替えることが可能となる。プローブ光源として波長405 nmの半導体レーザーを用い、アナモルフィックプリズムペアによってビーム形状を整形した後、グラントムソンプリズムによって直線偏光とした。このプローブ光を上述のEOMペアに入射し、偏光状態の制御を試みた。このようなEOMペアを透過した後の偏光状態を偏光計によって検出したところ、位相差50度の楕円偏光の楕円方位角を±4度というわずかな回転角で交互に発生させることができたことが確認された。今回計測した楕円偏光変調速度は2 Hz以下の領域までであったが、これは本研究で用いた偏光計の応答速度の制限によるものである。本研究の目的のためには100 kHz以上の変調が必要と見積もられるため、高精度かつ高速な偏光検出を実現するための検出器の開発が今後の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画通り、精密CD計測の根幹となる、電気-光学素子を利用した高精度楕円偏光制御系の構築に成功した。しかしながらCD測定の検証を行うための参照試料の調製に時間を要しているため、構築したシステムを利用したCD測定の検証には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
CD計測のための参照試料となるキラル分子の迅速な調整に努め、本年度に構築した楕円偏光制御システムによるCD測定の検証を行う。さらに集光光学系および試料走査系を導入することで、CDイメージングの実現を目指す。
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Causes of Carryover |
測定試料の調製に時間を要したため、その合成・精製に使用する予定であった研究費が本年度内に執行できなかった。また、光学系構築にあたって、他の終了研究プロジェクトで使用していた機器を一部流用することができたため、その分の機器購入費を削減することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試料調整にかかる経費は、次年度に使用する予定である。一方、本年度に削減できた機器購入費については、当初計画よりやや遅れている研究の進捗を加速するために、新たな光学素子を導入するための経費として有効活用する。
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Research Products
(2 results)