2015 Fiscal Year Research-status Report
液晶性ポリマーブラシを用いた有機半導体のナノ構造制御
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15K13712
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
池田 富樹 中央大学, 研究開発機構, 機構教授 (40143656)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリマーブラシ / 有機薄膜太陽電池 / 有機半導体 / ディスコチック液晶 / 液晶高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機半導体デバイスは多様な分子設計が可能であり,その特性は機能部位の配向・配列に強く依存する。さらに有機薄膜太陽電池などの多成分系においては相分離構造の制御が重要である。フタロシアニンやペリレンジイミドは半導体特性を示し,アルキル鎖を導入すると液晶性を示すことが知られている。液晶は分子配向に秩序性を持つため,系全体に渡る一様な配向を実現可能である。しかしながら,適切な処理を施さない限り配向秩序は局所的なものに留まり,ミクロドメインレベルでは配向が揃うものの系全体としては等方的なポリドメイン構造となる。本研究では,側鎖にディスコチック液晶を含む高分子を基板に固定化したポリマーブラシを作製することにより,系全体にわたる有機半導体分子の配向制御を試みる。またポリマーブラシの密度を制御して他成分を導入することにより,光電変換デバイス活性層における相分離構造制御を行う。本手法を用いるとナノ構造を制御した状態で多元系を構築できるため,光電変換効率の飛躍的な向上が期待できる。 本年度は,液晶半導体モノマーの合成に注力した。ディスコチック液晶分子として,p型半導体であるフタロシアニンとn型半導体であるペリレンジイミドを選択した。これらの分子にアルキル基およびメタクリレート基を導入することによりモノマーを合成した。ペリレンジイミドモノマーについて重合を検討し,表面開始原子移動ラジカル重合法によりポリマーブラシを作製することに成功した。また,光電変換素子のドナー成分として利用可能な液晶性オリゴチオフェンおよび液晶性ポリチオフェンを合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリマーブラシの構造・機能評価が幾分遅れているものの,複数のモノマーを合成できた点については当初計画を上回っている。ポリマーブラシの作製手法も確立できたため,全体としては概ね予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に合成した液晶半導体モノマーを用いてポリマーブラシを作製し,その構造やデバイス特性の評価を行う。またカラミチック液晶であるオリゴチオフェンモノマーの合成にも成功しており,これをディスコチック液晶と複合化することにより,有機薄膜太陽電池デバイスを作製し特性を評価する。
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Causes of Carryover |
2015年度は液晶半導体モノマーの合成に注力しており,これには予備検討の段階で購入済の試薬およびガラス器具が使用可能であったために予定よりも消耗品費の支出が少なく,次年度(2016年度)使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度未使用分については,2016年度にモノマーの大量合成に用いる試薬・ガラス器具や,有機半導体デバイス作製・評価に用いる透明電極基板・光学フィルター・AFMカンチレバーなどの消耗品費に充てる。
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