2015 Fiscal Year Research-status Report
ボロン酸型RNA結合リガンドの創製に基づく高選択的piRNA定量分析法の開発
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15K13716
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 精一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40281969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分析科学 / 核酸 / 分子認識 / 小分子RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
Piwi-interacting RNA (piRNA)は生殖細胞に発現している小分子RNAであり、遺伝情報伝達を調節する役割を担っている。現在piRNAの定量分析は、microRNAなど既往の小分子RNA解析に用いられてきた分析手法を適用することで行われているが、既存法ではpiRNA とその他の小分子RNAとを識別して解析することは原理的に不可能である。 本研究では、piRNA特有の3’末端塩基における2′-O-メチル化構造に着目し、RNAリボース環cis-2,3-diol 認識能を有するRNA結合性分子を設計し、これを用いたアフィニティゲル電気泳動によるpiRNA選択的な解析法を開発することを試みる。具体的には、ボロン酸が核酸リボースのジオール部位と可逆的にエステル形成することに着目したもので、ボロン酸誘導体を担持したポリアクリルアミドゲルを作製し、その分離機能を評価した。その結果、非修飾RNAと比べて2’-O-メチルRNAの泳動速度が大きくなり、メチル化の有無に基づくRNA分離が可能であることが分かった。これは、ゲルに担持したボロン酸が非修飾RNAのジオール部位とエステル形成をするためで、また、ボロン酸を担持しても、その感度や塩基長の識別能など、ポリアクリルアミドゲル本来の機能を維持できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、ボロン酸誘導体を担持したポリアクリルアミドゲルを用いることで、メチル化の有無に基づくRNA分離が可能であることを既に見出している。今後、実試料を対象とした分離・定量機能を評価するとともに、担持するボロン酸の機能改良をさらに進めることで、実用に供しうる分析法としての有用性を実証できることが期待できる。 以上のように、本研究は、おおむね順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画に従って研究を進める。まず、実試料を対象とした分離・定量機能を評価する。具体的には、piRNA発現が確認されている成体マウス精巣から抽出したTotal RNAをモデル検体として、開発したボロン酸誘導体含有アクリルアミドゲルの分離・定量機能を評価する。また、必要に応じて、ボロン酸誘導体(RNA結合リガンド)の改良合成へとフィードバックし、RNA結合リガンド機能の最適化を図る。 以上のように研究を遂行し、piRNAに特化した新規な分析化学的方法論を提案するとともに、piRNA 分離・定量分析法としての有用性を実証することを試みる。
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Causes of Carryover |
研究実験に必要な試薬で49円で購入できる適当なものはないため、次年度の消耗品購入に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度始めの試薬購入の際に使用する
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