2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13720
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 守俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00323501)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光 / イメージング / 細胞 / タンパク質 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)等の原理に基づく従来の蛍光プローブは,生体イオンや生体分子の濃度変動に忠実に応答する.従って,当該イオン・分子の動態の可視化計測を実現するためには,その蛍光シグナルを常にモニターし続ける必要がある.このことは,従来型の蛍光プローブを用いたin vivoイメージングでは,モデル動物(線虫やショウジョウバエ,ゼブラフィッシュ,マウスなど)を常に蛍光顕微鏡下に固定した状態で行わなければならない,ということを意味する.このため,従来型の蛍光プローブでは,同時にイメージングできるサンプルの数が基本的には1個体に限られてしまい,統計的に有意な数のデータを取得するために,膨大な時間をかけることを余儀なくされる.このように,従来型の蛍光プローブはin vivoイメージングに対して技術的に大きな制約を与えている.本研究では従来の蛍光プローブとは異なる新しいタイプの蛍光プローブを開発する.特に,環状核酸のイメージングを例として,新しいプローブを開発する. 平成27年度は,先行研究で開発してきた候補プローブの輝度を大幅に向上させるために,当該プローブの蛍光団近傍に集中的にアミノ酸変異を導入した.候補プローブの蛍光団は19個のアミノ酸に囲まれている.蛍光タンパク質の輝度の向上を目的とした従来研究を参考に,特に蛍光強度に重要な蛍光団のフェノレート部位を取り囲むアミノ酸を狙って集中的に変異を導入した.複数回にわたる変異導入の結果,環状核酸依存的に数倍程度の蛍光強度の増加を示す変異体を獲得することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように,平成27年度の研究において,環状核酸依存的に数倍程度の蛍光強度の増加を示す変異体を獲得することに成功した.ただし,この蛍光強度の増加では不十分と考えられるので,平成28年度も引き続き,当該変異体に対してアミノ酸変異を導入するところから研究を行う.このように,アミノ酸変異の導入により大幅に高輝度化を施した変異体を開発し,これを培養細胞に導入してその性質を調べる.その後,当該プローブについて,線虫の神経細胞での評価を行うこととする.
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Causes of Carryover |
消耗品費としての使用を予定していたが,実験計画の細かな変更により,次年度への繰越となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越となった研究費は消耗品費として使用する予定である.
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