2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K13723
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 慎也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335080)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非水系電気泳動 / 合成高分子 / イオン性界面活性剤 / キャピラリー電気泳動 / ゲル電気泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気泳動法は生体高分子分析では汎用されているが、非水溶性合成高分子分析への適用はほとんど行われていない。申請者はこれまでに、陽イオン性界面活性剤である塩化セチルトリメチルアンモニウム(CATC)を添加した非水系電気泳動により合成高分子のキャピラリー電気泳動分離が可能であることを見出しているが、その分離選択制の詳細は明らかではない。非水溶性合成高分子の電気泳動分離の根幹となる、「有機溶媒中での高分子-界面活性剤間の相互作用」についての知見を蓄積するため、有機溶媒組成および界面活性剤が電気泳動移動度に与える影響を、キャピラリー電気泳動法を用いて検討を行った。その結果CTACとは異なる界面活性剤である、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)や臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DMDOAB)を用いることでも、合成高分子の非水系キャピラリー電気泳動分離が可能であることを明らかにした。また、CTAC、SDS、DMDOABを用いることで異なる分離選択制を得ることが可能であることを見出した。さらに日水系溶媒の組成によりその分離選択制をある程度コントロール可能であることも見出した。 合成高分子のゲル電気泳動によるサイズ別分離手法を開発するために、有機ゲルの開発を行った。メタクリル酸メチル(MMA)とエチレンジメタクリレート(EDMA)を用いてテトラヒドロフラン(THF)を主要倍とする有機ゲルの調整を試みた。反応溶液中のMMA、EDMA量などの合成条件を調整し、合成高分子のゲル電気泳動によるサイズ別分離を行うための有機ゲルの調整に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非水溶性合成高分子の電気泳動分離の根幹となる「有機溶媒中での高分子-界面活性剤間の相互作用」については当初計画通り、種々の知見を蓄積することができている。ゲル電気泳動に関しては有機ゲルの調整に成功しているが、有機ゲル中の分析対象となる合成高分子の検出が予想以上に困難であり、適切かつ簡便な方法の検討を行う必要があることが分かった。そのため、ゲル電気泳動によるサイズ別分離に関しては若干の遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
「有機溶媒中での高分子-界面活性剤間の相互作用」に関する知見は、ほぼ予定通り進んでいるため、この知見を更に蓄積するため、現在対象としている比較的小さな分子量帯の高分子に加えて、重合度の大きい高分子の取り扱いに関する知見を深める。 ゲル電気泳動によるサイズ別分離に関しては、まずは有機ゲル中の合成高分子を簡便に検出するための方法の開発を行う。その上で、まだ情報の不足している有機ゲルの調整条件とサイズ別分離挙動に関する知見を蓄積する。そのうえで、当初計画通り他の種類の高分子への適用に関する基礎検討を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定では27年度に国際会議に参加する予定であったが、28年度に参加することにしたため、旅費の支出が遅れている。また、ゲル電気泳動に関する実験が予定より遅れているため、当初予定していた、標準高分子の購入をまだ行っていない。そのためため消耗品の支出が予定より遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議については、すでに発表の申し込みを行っており、旅費を執行する予定である。また、実験の遅れを取り戻すため、研究に参画させる学生を1名増員したため、消耗品についてはも問題なく執行される予定である。
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Research Products
(4 results)