2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13725
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井出 徹 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60231148)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオンチャネル / センサー / 単一チャネル電流計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属電極表面に固定したチャネル蛋白の活性を迅速に測定可能となる装置の開発を目指している。研究計画は、先行研究の結果を踏まえて、大きくは(ⅰ)人工膜形成法の改良(ⅱ)チャネル蛋白組み込み法の改良(ⅲ)マイクロタス技術との融合に分けられる。 (ⅰ)膜形成法の改良:人工膜を金属電極と水溶液の界面に形成するために、電極の素材、形状、修飾法を検討した。金線を電解研磨し、表面を分子量3000程度のポリエチレングリコールで修飾した電極を用いて良好な結果が得られた。先端の曲率半径は数十ナノメートルから0.1ミリメートル程度まで、何れの場合も安定な二重層膜形成が見られ、グラミシジン等のチャネル形成ペプチドによる単一チャネル電流計測も容易に行うことが出来た。 (ⅱ)チャネル蛋白組み込み法の改良: 上記電極表面に界面活性剤を用いて精製したチャネル蛋白をHis-tagを介して結合させ、人工膜に再構成した。電極表面に脂質二重層膜が形成されるのとほぼ同時にチャネル蛋白が膜中に組み込まれることを確認した。これまでにKcsA、MthK、BK、P2X4等のチャネル蛋白の組込に成功しており、安定な単一チャネル電流の計測にも成功している。現状では、電極表面の修飾、先端形状の違いによる組込効率の顕著な差は見られていない。以上の結果をまとめて学術論文を投稿中である。 (ⅲ)マイクロタス技術との融合:次年度以降の計画である、マイクロ流路技術との融合に向けて、電極先端の形状検討を開始した。ガラス管を用いた微小電極をモデルとして、水溶液の流動に耐え得る膜形成法(電極の形状)を検討中である。現在までのところ、先端径数マイクロメートル程度の電極表面を疎水コートすることにより、良好な結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね申請書に記載したとおりの進度で研究が進行している。装置の改良は網羅的に行っているので、全ての素材、形状に関して検討できたわけではないが、当初期待した性能は十分に開発し得たものと考えている。チャネルの組込は、P2X4など計画段階では予定していなかったものについても成功しており、将来の汎用的なデバイス作製に向けて、予想以上の成果を得たと言って良いであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は申請書通り進行しており、今後も申請書の記載に従い研究を推進する。次年度は、これまでに開発した電極をマイクロ流路技術と組み合わせることにより、多チャンネルの同時計測系を開発する。
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Research Products
(4 results)