2015 Fiscal Year Research-status Report
全反射XAFS法による液/液界面でのイオン分布・分子配向の解明
Project/Area Number |
15K13727
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧上 隆智 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40271100)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 全反射XAFS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では液/液界面吸着膜における対イオンの水和構造や結合度を評価するための全反射XAFS測定手法の開発とその適用を主目的としている。今年度はまず、溶液界面全反射XAFS測定法の確立に向け、新規に液面高さの調整が可能な資料セルの設計・作成を行った。 (1)試料セルの概要 溶液界面試料セルは軽量かつ強度の高いアルミニウム製とし、平滑な水/油界面を容易に作成できるよう、疎水化処理した石英ガラス製の枠をはめ込む形状とした。また、セル内の汚れや腐食を抑えるためにセル内部をテフロンコーティングした。さらにセル側面にテフロンチューブを介してガラス製シリンジを接続し、水溶液を外部から出し入れすることで溶液界面の高さを調節できる仕様とした。 (2)予備実験 作成した試料セルを用いて、SPring-8 BL39XUにおいて陽イオン界面活性剤水溶液/油界面吸着膜の全反射XAFS測定をBrイオンをターゲットに試みた。気/液表面での計測で得られるXAFSスペクトルに比べS/N比は劣るものの、液/液界面からの計測に成功し、K吸収端ジャンプ値の溶液濃度依存性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに作成した試料セルを用い、液/液界面吸着膜からの全反射XAFS測定を行うことが可能となり、ほぼ初期の計画を達成できたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は液/液界面からの全反射XAFSスペクトルの計測には成功したものの、吸収端以降のEXAFS領域の解析によりイオンの水和構造を決定するにはさらなるS/N比の向上が必要である。計測中に液面高さが変化するという事態に見舞われており、水溶液相と油相との相互溶解やガラス枠の撥水性の変化によるメニスカスの変化が界面高さの変化に与える影響を詰める必要があると思われる。
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