2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13731
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
内山 一美 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (40151899)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微細化学描画 / マイクロ流体 / マイクロ・ナノパターニング |
Outline of Annual Research Achievements |
材料表面に,望みの分子構造を数μmの任意パターンで塗り分けて描画する新規微小描画ツールを開発する。材料表面に任意の微細化学パターニングが可能となれば,マイクロアレイ作製や有機エレクトロニクスの基盤的技術となる。しかしこのようなツールは未だにない。申請者は最近複数のキャピラリーチューブを束ねその端面を,溶媒中に浸した材料表面に近接させ,一方のキャピラリーから反応試薬を吐出し,他方から反応試薬と溶媒を吸引すると数十μmの分解能で表面化学修飾が可能なことを見いだした。又流路を工夫することにより更に小さな領域を選択的に化学修飾できることもわかった。本研究では新規微小化学描画装置を更に高度化し,材料表面に最小線幅数μmの化学描画を行うツールを開発する。 27年度は以下のような研究を行った。まずマイクロ化学ペンを構成する内径200μm、外径350μmの石英製キャピラリーチューブの固定化方法を最適化した。これにより流量及びスポット形状の再現性が向上した。次に、最適化した化学ペンを用いて基板表面で銀鏡反応を起こし、銀線を描画した。ペン先端を塩化スズ(Ⅱ)処理したガラス板に近接させることにより銀線による配線、文字描画が可能であった。反応場の形状を詳細に調べるため、一方からNBD-F溶液を、他方から牛血清アルブミン(BSA)溶液を、種々の流量で送液した。その結果試薬の吐出流量と、試薬の吸引流量比、ペン先端と材料表面との距離によりスポット形状、大きさが決定されることがわかった。更にコンピュータシミュレーションにより、種々の流量下での混合領域の形状を3次元的に可視化した。次に、描画できる最小線幅を確認するため、高分子溶液をノズルから吐出し、ガラス基板上に高分子構造体を構築した。種々の検討の結果、最小線幅約3μmの描画が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で作製したマイクロ化学ペンは、溶液中の任意材料表面に化学反応を利用してパターニングするもので、これまでに全く例がない。本研究では化学ペンの作製・最適化、描画装置の作成、描画条件の最適化ができ、進捗状況としては極めて順調といえる。現在研究成果をNatureの姉妹紙であるAcientificReport誌に投稿しているが、出版された報告がいまだにないのが唯一の遅延点である。現在審査意見に従って修正し、再度投稿しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに3本ノズルからなるマイクロ化学ペンの最適化を完了した。本年度は基板上で高分子合成を行い、粘度、流量を最適化することにより1μm以下の線幅の描画を達成させたい。また、ペン先端と材料表面の距離を一定に保つため、吸引キャピラリーの圧力をモニタすることで距離を正確にモニタし、この信号をZステージにフィードバックすることにより距離を一定に保つ方法について検討する。 また線描画の更なる再現性向上を目指し、4本ノズルからなるマイクロ化学ペンを作製、評価する。4本ノズルでは、そのうちの2本から試薬の吐出、残りの2本から試薬の吸引を行う。これにより高い再現性で化学反応で描いた線の描画が可能となる。 更にマイクロ化学ペンの応用範囲の拡大を図る。即ち、高分子ゲルの合成とアクチュエータへの応用、温度応答性高分子の位置選択的固定化による溶液の透過性制御、有機合成反応によるセンサの開発など、種々の応用性について検討する。
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[Presentation] Mirofluidic based chemical pen2015
Author(s)
S. Mao, C. Sato, H. Zeng, H. Nakajima, K. Uchiyama
Organizer
The 8th international forum on chemistry of functional organic chemicals
Place of Presentation
Tokyo University
Year and Date
2015-10-07 – 2015-10-08
Int'l Joint Research
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