2015 Fiscal Year Research-status Report
抗体のN末端特異的蛍光標識による新規抗原検出法の開発
Project/Area Number |
15K13739
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
芳坂 貴弘 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (30263619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗体 / イムノアッセイ / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、IgG抗体のN末端を特異的に蛍光標識することで、蛍光応答性抗体を作製することを目的としている。そのためにまず、弱酸性溶液中で蛍光分子のアルデヒド誘導体と還元剤を用いて、IgGのN末端アミノ基の還元的アルキル化による蛍光標識を行った。N末端アミノ基のpKa値(7-8)はLys側鎖アミノ基(9-10)よりも低いため、弱酸性条件下ではLys側鎖のアミノ基はほぼ完全にプロトン化して求核性を失っているのに対し、N末端アミノ基は一部脱プロトン化して求核性を保持している。従って、弱酸性溶液中ではN末端アミノ基に優先的に蛍光標識が起こると予想される。実際に、テトラメチルローダミン(TAMRA)のアルデヒド誘導体を化学合成して、pH 5においてIgG抗体の還元的アルキル化反応を行った。反応後の蛍光標識抗体をペプチド断片化した後、質量分析を行った結果、N末端アミノ基にTAMRAアルデヒドが付加した生成物が得られていることが確認された。続いて、蛍光標識IgGへ抗原を添加してそれに伴う蛍光変化を測定したところ、複数の種類の抗体において、抗原濃度に依存した蛍光強度の増大が観察された。これは、抗原非存在下ではN末端に付加されたTAMRAの蛍光が減弱化されるのに対し、抗原存在化では蛍光強度が回復するためだと考えられる。また、蛍光基の種類、蛍光基とアルデヒド間のリンカー長の長さ、および蛍光測定時のpHなどについても検討を行い、抗原依存的な蛍光強度変化を引き起こさせるための条件の最適化も試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IgG抗体のN末端アミノ基に対する蛍光標識を質量分析による確認、および、抗原依存的な蛍光強度の増大の検出を達成できており、おおむね順調と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、蛍光強度変化があまり大きくない場合が多いため、引き続き、抗原依存的な蛍光強度変化を引き起こさせるための条件の最適化を進める。また、細胞イメージングへの応用も試みる。
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Causes of Carryover |
試薬の使用量が当初の見込みより少なかったため物品費に差額が生じた。また旅費は所属機関の経費等を利用できたため使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬購入のための物品費、成果発表のための旅費、蛍光標識抗体の合成に関する実験補助のための人件費に充当して使用する。
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Research Products
(9 results)