2016 Fiscal Year Research-status Report
抗体のN末端特異的蛍光標識による新規抗原検出法の開発
Project/Area Number |
15K13739
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
芳坂 貴弘 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (30263619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗体 / イムノアッセイ / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、IgG抗体のN末端を特異的に蛍光標識することで、蛍光応答性抗体を作製することを目的としている。これまでに、弱酸性溶液中で蛍光分子のアルデヒド誘導体と還元剤を用いて、IgGのN末端アミノ基の還元的アルキル化による蛍光標識を行うことで、抗原の結合により蛍光の増大を示す抗体が得られている。今年度は、さらに多種類の抗体への適用を試み、実際に蛍光応答を示す蛍光標識抗体を複数取得することができた。また、アミノ酸配列が既知で高純度の抗体を用いて、プロテアーゼ消化ペプチド断片の分析を行い、N末端特異性が十分に高いことを明らかにした。 さらに、N末端アミノ基の蛍光標識に加えて、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のドナーとなる蛍光基をLys側鎖アミノ基へ修飾することで、二重標識抗体を合成した。この抗体はFRETに加えて、アクセプター蛍光の抗原に応答した蛍光強度変化により、抗原をドナー/アクセプターの蛍光強度比の変化として検出できた。このような二重標識抗体は、抗体濃度に依存せずに抗原の検出が可能になるというメリットがある。 また、タグペプチドに対する蛍光標識抗体を、タンパク質発現のリアルタイム検出に応用した。すなわち、タグペプチドを含む遺伝子を無細胞翻訳系で発現させる際に、タグペプチドに対する蛍光標識抗体を混在させておくことで、タグペプチド付加タンパク質の発現をリアルタイムに検出することができた。この手法は、複数のタグペプチド抗体について適用可能であり、タンパク質発現の研究ツールとして有用になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くの種類のIgG抗体について、抗原依存的な蛍光強度の増大を示すものを得ることができた。また、二重標識による蛍光レシオ検出、および、タンパク質発現のリアルタイム検出が達成できており、おおむね順調と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で確立された手法は、迅速簡便な抗原の検出が可能であり、抗原が低分子量であっても適用可能となるメリットがある。今後は、本手法の有効な応用方法を検証するとともに、蛍光強度変化をさらに増大させるよう改良を進める必要がある。また、細胞イメージングへの応用も試みているが、まだ十分な結果が得られていないため、さらなる検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
雇用した研究補助員が産休を取得したために研究の進行が遅れており、次年度も研究を継続して行うことにした(補助事業期間延長承認済み)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を延長して行うため、研究補助員の人件費に充当する。
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Research Products
(5 results)