2016 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of peptide-based drugs for muscular dystrophy
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15K13741
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 雄二 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60362456)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / 糖鎖修飾 / ペプチド医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋に高発現する膜タンパク質ジストログリカンは、糖鎖修飾依存的に細胞外マトリックスの構成因子であるラミニンと結合する。ジストログリカン上の糖鎖修飾不全により、ラミニンと形質膜の連結が損なわれ、筋ジストロフィーが惹起される。同糖鎖修飾不全と連関した筋ジストロフィーについて、その未成熟型糖鎖を認識し、治療法に結びつけた研究は未だなされていない。そこで本研究では、ジストログリカン上の未成熟糖鎖を認識するペプチド性プローブとして多価型ペプチド型プローブに着目し、研究を遂行した。ジストログリカン上の機能型糖鎖として、O-マンノース基がまず付加され、さらに同官能基上のリン酸基を介した末端糖鎖が知られている。今回リン酸基構造に着目して、認識するペプチドプローブのスクリーニングを行なった。ベイトタンパク質として(1)マンノース基のみを有する、(2)マンノース基上の未修飾リン酸基を有するジストログリカンタンパク質を調製・利用した。4本の同一ペプチド配列を有する多価型ペプチドライブラリーについてスクリーニングを行なったところ、塩基性アミノ酸に富み、かつトリプトファンを含む配列が候補として得られた。このことは、ジストログリカン上の酸性糖鎖を認識する際には、単に静電相互作用だけでなく、アミノ酸レベルでの配列特異性が必要であることが示唆され、ジストログリカン‐ラミニン間の相互作用を知るうえでも重要な知見となった。 また今回のペプチドライブラリーによる検出法は、他の生体分子への応用が可能である。我々は、生体膜リン脂質の一つホスファチジン酸を認識する多価型ペプチドの構築に成功した。筋疾患は形質膜構成因子であるリン脂質の生合成経路の破綻でも引き起こされることが知られており、同手法は筋疾患の発症機構を明らかにする上で、貴重なツールとなりうることが示された。
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