2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞内におけるRNA分解の観測法の開発とストレス応答研究への応用
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15K13746
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大槻 高史 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80321735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 和則 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (70602027)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RNA分解 / ストレス応答 / tRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞が様々な状況に対応する際、RNAの局在変化や分解を伴うことは多いと考えられる。そのとき同じRNAでも異なる場所で分解速度が同じとは限らない。のような細胞内の場所ごとのRNA分解の違い・局在変化と分解の連動に関する知見は極めて少ない。そこで本研究では、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いた蛍光相関分光法(FCS)により細胞内の各所におけるRNAの分解について調べる方法の確立を目指した。このとき、哺乳動物細胞の熱ストレス応答において一部のtRNA(tRNAiMet)の核内蓄積・顆粒形成・分解促進などが起こることが知られているため、これを題材とした。 まず、標識tRNAの作製を行った。FCS測定に用いるための標識RNAとして、ヒトtRNAiMetの3’端側を蛍光標識したものを作製した。完全長のtRNAについては上記標識RNA断片と未標識RNA断片との連結による作製を行った。続いて、FCSによる細胞内tRNAの動きの測定を行った。蛍光標識RNAを哺乳動物細胞の細胞質内にマイクロインジェクションしてすぐに、このRNAの拡散係数をFCSにより測定した。この結果を、標識RNAの分解物をマイクロインジェクションした場合と比較し、分解による拡散係数の違いを調べた。結果としては、未分解の標識RNAの拡散係数は細胞内と水溶液中とで同等であったが、標識RNA分解物の拡散係数は細胞内では予想外に拡散係数が小さく、未分解のRNAを下回ってしまった。これは分解物の方が拡散係数が大きくなるという水溶液中での結果と矛盾する。これは標識のための蛍光色素と細胞内膜成分等との相互作用が原因だろうと考えている。現在、蛍光色素自身の細胞内での挙動についても調べ、RNA標識用の蛍光色素を変えて分解前後の拡散係数の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分解前後の標識RNAの拡散係数に関して予想外の結果がでて検討項目が変わってきたため、順調か遅れているかという単純な評価はしづらい。しかし、およそ予定していた蛍光標識RNAの作製および細胞内でのFCS測定に取り組んだうえ、新たな検討項目にも取り組んでいることから、おおむね順調と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、いくつかの異なる蛍光基で標識したRNAが分解前後で同様な拡散係数の変化を示すかどうかを調べる。その結果、蛍光基によっては分解前後の拡散係数の変動が水溶液中での結果と同じになった場合は、細胞内成分と強く相互作用する蛍光色素とそうでないものを見出して適切な蛍光標識による分析法を確立することができる。あるいは結果として、同様に分解後に拡散係数が小さくなるのであれば、それは水溶液中での実験結果と矛盾する興味深い知見であるため、、細胞内でそのようなことが起こる原因を究明する。加えて、細胞内で蛍光がONになるRNAの開発、FCSおよびRIP法による熱ストレス下および通常条件下におけるtRNAの分解の追跡など当初の予定項目に取り組む。
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Causes of Carryover |
FCS測定に使用するRNAの量を最小化する検討を行った結果、予想以上に少なく済んだため、標識RNAの購入及び作製にかかる費用が低く済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
標識するための蛍光色素を多数使って検討が必要になってきたため、前年度の抑えた分の支出で多種類の標識RNAの購入を行う。
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Research Products
(2 results)