2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K13751
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川上 隆史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬分子プロファイリング研究センター, 研究員 (60638881)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホスホノペプチド / PUREシステム / 分子進化 / ホスホン酸 / リボザイム / リボソーム / プロテオミクス / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームはエステル結合やチオエステル結合の形成を触媒可能であることが知られているが(Ellman et al., Science 197, (1992))、カルボン酸以外の酸基質を触媒した例は報告されていない。そこで本研究ではアミノ酸のカルボキシル基の代わりにホスホニル基を持つアミノホスホン酸をtRNAに連結し、リボソーム内でホスホノペプチド結合(リン-窒素間の結合)の形成を触媒可能であるか検証することを目的とする。 まずアミノアルキルホスホン酸の活性エステルの化学合成を行いtRNAへの連結を試みた結果、既存リボザイムではホスホン酸によるtRNAのアシル化は進行しないことが判明した。そこでホスホン酸活性エステルを用いた新規tRNAホスホニル化リボザイムの分子進化を行うことにした。 HPLC分析の結果、ホスホン酸-3,5-ジニトロベンジルエステルは著しく安定、また、ホスホン酸-p-クロロベンジルチオエステルは著しく不安定であり、リボザイム分子進化の基質には適さないことが判明した。一方、O-メチル-ホスホン酸-3,5-ジニトロベンジルエステルは氷上、pH9.5で半減期が約3時間と分子進化に適していることが判明した。 そこで既存リボザイムのカルボン酸-3,5-ジニトロベンジルエステル認識部位にランダム変異を導入したRNAライブラリーとO-メチル-ホスホン酸-3,5-ジニトロベンジルエステルを用いてtRNAホスホニル化リボザイムの分子進化を行なった。tRNAドメインを融合したRNAライブラリーとO-メチル-アミノアルキルホスホン酸-3,5-ジニトロベンジルエステルを反応後、アミノ基選択的ビオチン化を行なった。固定化ストレプトアビジンを用いて活性種を回収しRT-PCR・転写を行なった。セレクションサイクルを繰り返した結果、固定化ストレプトアビジンへの回収率の上昇を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノアルキルホスホン酸の活性エステル(3,5-ジニトロベンジルエステル及びp-クロロベンジルチオエステル)の化学合成に成功し、既存リボザイムではホスホン酸によるtRNAのアシル化は進行しないことを証明できたため。 また、O-メチル-ホスホン酸-3,5-ジニトロベンジルエステルを用いた新規tRNAホスホニル化リボザイムの分子進化を進め、固定化ストレプトアビジンへの回収率の上昇を観察することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
固定化ストレプトアビジンへの回収率の上昇が観察されたRNAライブラリーをクローン化し、シーケンス解析を行う。シーケンス解析後、クローンRNAとO-メチル-アミノアルキルホスホン酸-3,5-ジニトロベンジルエステルを用いて、O-メチル-アミノアルキルホスホン酸のtRNAへの連結が進行するか確認する。進行が確認できたら、そのクローンRNA(tRNAホスホニル化リボザイム)のtRNA基質特異性やリボザイム・tRNA分子間反応の効率を解析し、大腸菌由来の再構成型無細胞翻訳系(PUREシステム)を用いて、リボソーム内でホスホノペプチド結合(リン-窒素間の結合)の形成を触媒可能であるか検証する。
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Causes of Carryover |
研究計画が順調に進んだため、計画よりも研究費を抑えることが可能となった。また、所属機関の共用機器が使用可能となったため、計画よりも研究費を抑えることが可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、有機合成化学実験試薬・器具、生化学実験試薬・器具などの物品費、学会発表のための旅費等として使用する計画である。
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