2015 Fiscal Year Research-status Report
固体触媒と均一系触媒の融合による二酸化炭素固定化反応の新手法創出
Project/Area Number |
15K13755
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 哲晶 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30374698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / コバルト / ニッケル / アリールトリフラート / アルケニルトリフラート |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素を炭素源として有用な有機化合物へと変換する触媒的合成反応は,炭素資源の有効利用が求められている次世代の物質合成として注目されている.本申請課題では,光エネルギーから電子を取り出し,この電子を炭素-炭素結合形成を伴う二酸化炭素固定化反応の駆動力として利用する遷移金属錯体ー固体触媒の複合系触媒の開発を目的として研究を進めている. 本年度は,これらの基礎的にな知見を得る目的で,二酸化炭素固定化を実現するための遷移金属錯体触媒反応の開発を中心に行った.その結果,ニッケルならびにコバルト錯体を用いて,還元剤として不均一系のマンガン単体を利用することにより,アリールまたはアルケニルトリフラートの炭素ー酸素結合の切断を経るカルボキシル化反応が効率良く進行することを見出した.本反応は1気圧の二酸化炭素雰囲気下において効率良く進行し,様々な基質に適用可能であることを見出した.中でも,立体的に込み入ったアリールトリフラートを基質とする反応に適用でき,対応する安息香酸誘導体が良好な収率で得られた. また,これらの反応においては,二座の窒素系配位子が有効であることが示され,これは光触媒担体に担持する新規配位子を設計・合成する上で重要な指針が得られた.一方で,この反応の還元駆動力をマンガン単体から光エネルギーを駆動力とする反応系へと適用することを試みたが,これまでのところ目的とするカルボキシル化反応は進行していない.更なる検討が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題では,光エネルギーから電子を取り出し,この電子を炭素-炭素結合形成を伴う二酸化炭素固定化反応の駆動力として利用する遷移金属錯体触媒系の開発を目的とする.初年度において,新しい二酸化炭素固定化反応の開発に成功していることから,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの所,光エネルギーを駆動力とする反応系へと適用を試みたが,これまでのところ目的とするカルボキシル化反応は進行していない.1つの要因は,半導体光触媒の選択ではないかと考えている.今後,光触媒を専門とする研究者と議論し,最適な触媒系を探索する.
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Research Products
(4 results)