2015 Fiscal Year Research-status Report
分子認識を基礎とする高性能クロマトグラフィーによる環境分析手法の構築
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15K13756
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大塚 浩二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70183762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 拓也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20374994)
内藤 豊裕 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10711806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子認識 / 分子インプリント / クロマトグラフィー / 環境分析 / ナノ炭素材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロマトグラフィーによる環境関連物質分析をより高性能化するため,主にキャピラリー高速液体クロマトグラフィー (cHPLC) を基盤手法として用い,特定の物質を高効率・高選択的に分離分析する新たなシステムの構築を実現するための基礎研究を行った。1.従来の分子インプリント法では,比較的疎水性の高い溶媒,すなわち非水系の有機溶媒に可溶な鋳型分子を用いてポリマーを合成していた。そのため,分子インプリント法の大きな欠点として水溶性化合物への適用が困難であることが指摘されてきた。そこで,申請者らが開発した官能基間距離認識に基づく選択的な分離について検討を行った。その結果,この官能基間距離固定化法では,有機溶媒に不溶な鋳型分子と同じくイオン性の機能性モノマーを用いて,イオン結合型錯体を合成し,架橋高分子表面で反応させることにより特定の官能基を距離選択的に固定化することが可能であることが明らかとなった。 2.官能基間距離固定化法を基礎として,数種の環境関連モデル化合物についてそれぞれ適切な鋳型分子を選択しMIPを合成し,得られたMIPをcHPLC固定相として利用するための基礎的検討を行った。 3. ナノ炭素材料を用いる特異的分離場の創製について,C60フラーレン修飾シリカゲル充填剤を基盤として,特異的保持能を発現する固定相のさらなる進展を図った。従来,C60フラーレンのシリカゲル表面への固定化に際して光/熱活性基であるperfluoro-phenyl azide (PFPA) を利用し一定の成果を挙げてきたが,反応条件によって固定化率が異なるなど最適条件の設定は出来ていなかった。そこで,PFPAを用いるC60フラーレンの固定化条件を最適化し,より効率的で再現性の高い分離剤の合成を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した内容をほぼクリアしているとともに,当初想定していなかったいくつかの新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初計画に基づき,各目標の達成に向けて研究の進展を図る。
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Causes of Carryover |
経費削減の努力により,物品費支出が予算に比べ大幅に減少した。その一方,研究の順調な進捗により国際学会での発表件数が増え,海外旅費を中心に旅費支出が増大した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(最終年度)においては,当初予定金額との合算使用により,より効率的な予算配分・使用を目指し計画の遂行に努力する。
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