2016 Fiscal Year Annual Research Report
Production of phenol and resorcinol derivatives using PdC-ethylene system
Project/Area Number |
15K13758
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 昌彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60192704)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パラジウム / 酸化反応 / フェノール / レゾルシノール / レスベラトロール |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年に私たちはPd/C触媒存在下、エチレン雰囲気下でアルコールを作用させると対応するアルデヒドやケトンが高収率で得られることを報告した。この反応は、Pd/Cが基質から水素を奪い、エチレンが水素化されてPd/C触媒が再生されるという水素移動反応を利用した酸化反応と言える。 本研究では、このPd/C―エチレン系を利用し、シクロヘキサノンからフェノールおよびフェノールのアルキルエーテルおよび1,3-シクロヘキサジオンからレゾルシノールおよびそのジアルキルエーテル、さらにはこの反応を利用してレスベラトロールの簡便な合成法を確立した。 触媒量のPd/C存在下、エチレン雰囲気下でシクロヘキサノンとアルコールを作用させると、フェノールのアルキルエーテルが高収率で得られた。アルコールとして種々のアルコールを用いることができ、このアルコールをBBr3で処理するとフェノールが得られた。一方、シクロヘキサノンの代わりにシクロへキセノンを基質に用いるとフェノールが高収率で得られた。 同条件下、1,3-シクロヘキサジオンに対してアルコールを反応させるとレゾルシノールのジアルキルエーテル体が得られた。本反応では、脱エーテル過程を必要とせず、反応系中に、炭酸カリウムを添加することにより、レゾルシノールが直接得られた。 この方法を、抗酸化機能を持つポリフェノールの一種であるレスベラトロールの合成に適用することができた。5-メチル1,3-シクロヘキサンジオンを出発原料とし5段階、トータル収率46%でレスベラトロールを合成することができた。この方法はHoner-Wadsworth-Emmons反応を用いないため実用性の高い合成法である。
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