2015 Fiscal Year Research-status Report
イオン導電体を用いた化学ポテンシャル制御による革新的アンモニア合成法の創生
Project/Area Number |
15K13764
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 孝明 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20545131)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アンモニア合成 / 電気化学合成 / 化学ポテンシャル制御 / 固体イオニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案では、ハーバー・ボッシュ法よりもエネルギー消費の少ない新規アンモニア合成代替技術の創生を目指す。詳しくは、ハーバー・ボッシュ法が必要とするプロセスのうち高圧ガス雰囲気をイオン導電体を用いた化学ポテンシャル制御で代替する技術の確立を推進する。 H27年度においては計画申請に沿って、窒素イオン伝導性材料として窒化ケイ素(Si3N4)を、プロトン伝導性材料として市販の不純物ドープアルミナ板を用いて張り合わせセルを作成した。この場合、アルミナ/Si3N4間の電極としてはパラジウム電極を、それぞれの対極には金電極を、そして集電材料には金メッシュを用いた。それぞれの電極は窒素ガス流通下において、900度で1時間加熱することで焼き付けた。これにより計画通りセルの試作は問題なく達成できた。実際に試作セルを用いて、窒素ガスと水素ガスが1対3の雰囲気中で、400度および500度においてセルに最大10V程度の電圧印可を行いアンモニア合成の可能性を検討した。この場合、アンモニアの合成の有無は計画書通りセル下流のガスをフェノールフタレイン溶液に通液し、その色の変化を確認することで行った。数度検討を行ったものの、色の変化は確認できず明確なアンモニアの合成は確認できなかった。この理由しては試作したセルへの効率的なガス供給等に問題があることが考えられる。またセルの構造にもまだ改良の余地も見出された。H28年度では引き続きこのセルの改良等を行うことで再度検討を行い、明確な量のアンモニア合成を達成することを推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通りH27年は化学ポテンシャル制御型アンモニア合成用セルの試作とアンモニア合成実験を推進することになっているが、予定通りセルの試作とその実験を達成したため、ほぼ計画通り推進出来ているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度ではセルの試作と実験は達成したものの、アンモニアの検出は出来なかった。そこで引き続き、セルの改良や合成条件の最適化を行い、その大量合成の可能性を検討する。また、計画にある通りイオン伝導性の高い材料等の使用、またその場合、イオンブロッキング状態での測定も推進する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に電気炉の取得による試料合成等も検討していたが、H27年度では必要な材料がすでに得られたため、この検討項目に関しては次年度に行ったほうがより円滑な推進が望めると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き電気炉の取得に充てることを検討する。そして、最適な試料合成等を検討する。
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Research Products
(1 results)