2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13771
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 修平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (90452276)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属錯体 / カゴ状物質 / 動的構造 / 空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「動的ナノ空間をもつ錯体ソフトマテリアルの創成」では、①溶液状態・固体状態のどちらの状態においても安定かつ動的な内部空間を持つ「動的空間錯体分子」を合成し、②溶液プロセッシング技術を用いて固体材料(ソフトマテリアル)として成型加工することで、外場(応力)によりナノ空間特性を変化させる「錯体ソフトマテリアル」を創成することを目的としている。具体的には、相互貫入構造を持つケージ型錯体分子を有機高分子と融合し、薄膜やファイバーなどのマクロ構造体として構築することで、マクロ構造体に与える外部応力を分子構造変化へと伝搬させる。この材料は、分離膜・分子センサー・生細胞への化学刺激材料といった、外場による分子の吸着・放出制御を利用した様々な応用が可能であり、医療・環境など社会の様々なニーズと深く関わる材料となりうる。 本年度は、課題(A):構造柔軟性を有する動的空間錯体分子の合成及び、課題(B):動的空間錯体分子の連結によるソフトマテリアル化の両方に取り組み、課題(B)に関して全く新しい成果を得ることに成功した。具体的には、動的空間錯体分子になりうるMOPと呼ばれるナノ空間を有する金属錯体分子を用いて、様々なスペーサー分子と反応させることで新しいソフトマテリアルを得ること成功した。特に、ロジウムを中心金属に有するMOPに対し、イミダゾール基を有するスペーサー分子と反応させることで、ゲル化することに成功し、さらに超臨界二酸化炭素を用いてエアロゲル化すると、非常に高い比表面積を有するマイクロ孔とマクロ孔を有する新しいエアロゲルの創出に成功した。このエアロゲルはゲル状態ではソフトマテリアルであり、様々な形に成型できることから、新しい吸着剤になりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、課題Aの後、課題Bという流れであったが、今年度は先に課題Bを達成することに成功した。MOPを用いて新しい錯体ソフトマテリアルを合成可能であることを示したことは大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、課題Aに関する研究を行い、すでに確立した課題Bの手法を用いて目的とする動的錯体ソフトマテリアルの創成を目指す。
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Research Products
(3 results)