2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13772
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辛川 誠 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (80452457)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アモルファス酸化物 / n型半導体 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では金属酸化物系薄膜において、アモルファス化による電子物性制御と、デバイスにおいてそれが有益に機能し得ることを実証することを目的としている。 作製法は常温、常圧、非加熱であり、ジルコニアと同様、デバイスに使えるものでなくてはならない。27年度は、ジルコニウムの同族であるハフニウムの機能化を行った。ハフニア(ハフニウム酸化物)もジルコニアと同様、高温焼成して用いられる酸化物であり、デバイス応用の例でも焼成ハフニアが用いられていることが知られている。 ハフニウムトリアルコキシドを原料に、ジルコニアと同様の条件で作製を行った。原料は同族のチタン、ジルコニウムのそれとはことなり、常温で固体であるため、前駆体形成に検討を要した。前駆体形成時の溶解性にもこれまでの系ではなかった不溶物析出という問題が生じ、ゾル化条件も変更した。結果、無色透明なゾルが得られ、これを室温、常圧、非加熱で薄膜化した。得られた薄膜は、紫外可視分光測定、光電子分光測定を行い、可視光域に吸収がないことや、組成を確かめた後、デバイスでの機能を評価した。期待どおりの極めて良好な太陽電池性能が得られ、ジルコニアに続いて、ハフニアの薄膜でも、n型半導体として機能している実験結果が得られた。さらには、チタニアで作製したデバイスよりも、高い効率が得られた。この理由について、紫外光電子分光測定により、ハフニア薄膜のエネルギー準位を求める方法で検討している。 一方、ハフニアの性能が良好であった事をうけて、混合系を検討している。チタニアとハフニア、ジルコニアとハフニアの混合酸化物系を試み、単一系よりも良好な物性が得られている。現在、最適化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定していた混合系について検討し、期待以上の性能が得られることを見出している。混合系は、単一系よりも一律に高い結果が得られたことは進展に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
紫外可視分光測定、光電子分光測定、紫外光電子分光測定を単一系および混合系について詳細に行い、アモルファス化による電子状態の変化や、混合した場合での電子状態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた酸化物材料候補のうち、ハフニアで結果として順調に実験が進捗したため、試薬類の購入が少なく抑えることができた。ハフニアがうまくいかない場合を想定した実験について、初年度に行う必要がなくなったことも支出抑制に効果的であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度の結果を受けて、次年度予定していた混合系に前倒しで着手し、良好な結果を得られつつある。初年度予算の残額を28年度に繰越し、混合系の実験を慎重に行い、アモルファス酸化物の新しい用途展開に投じる。具体的には、デバイス作製を多くして、条件検討を行う。デバイス作製のための、ITOガラス基板の購入を本繰越の主たる用途とする。
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